能見お目覚めGキラー!今季初勝利

 「阪神2-1巨人」(18日、甲子園)

 一瞬の隙を突いた。2-1の七回、1死。一塁には代走のスペシャリスト・鈴木尚がいた。カウント3-1。不利な状況もマウンドの阪神・能見は冷静だ。相手ベンチの作戦を読み解き、走者の心理も見透かす。素早いけん制を2球続けて間一髪、アウトに。聖地の静寂を歓声に変えた1プレー。これぞ熟練の技だ。

 「藤井さんが感じていた部分だったので。それを僕も読み取りながら。(一塁走者が)1球目に逆をつかれていたし、カウント的にも仕掛けやすいところだったので」

 2連敗で迎えた3度目の登板。序盤から、ストライク先行の投球で飛ばした。右打者の懐にクロスファイヤーを決め、追い込むと鋭いフォークで空を切らせる。7回を投げきり、5安打1失点、8奪三振。待望の今季初白星をつかんだ。

 どうしても勝ちたい理由があった。今春、長女が小学校に入学。自身の登板日と重なった7日は、午前中に式へ足を運び、娘の晴れ姿を目に焼き付けた。「祝い事だから。そこは勝ちたいね」。いつもクールな左腕も、このときばかりは父親の顔に。当日は勝利で飾れなかったが、11日遅れの記念星を届けた。

 左腕の意地が詰まった102球だ。ローテ再編のあおりを受け、前回から中10日の登板間隔。「雨で流れて、外されるところに、自分のふがいなさがあった」。和田監督は「能見に勝ちがついて乗っていかないと、流れが苦しい。今日1勝したことで、気分的にも変わってくる」と揺るがぬ信頼を示した。

 巨人戦の通算19勝は井川(現オリックス)に並んで球団歴代6位タイ、自身の同戦連敗を4で止めた。「こういう投球を続けていかないと。チームも勝っているので」。次回の巨人戦は5月2日が濃厚。波に乗りきれないチーム状況の中、役者がそろった。

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