岩田お待たせ今季初星で阪神3連勝
「阪神3-1ヤクルト」(29日、甲子園)
この勝利を待ってたんや!先発の阪神・岩田稔投手(31)が7回無失点で今季初勝利。昨年8月20日以来となる、待望の勝ち星を挙げた。毎回走者を出し、そのうち6度は得点圏に背負ったが、強打のツバメ打線に得点を許さなかった。チームは開幕カード以来、今季2度目の3連勝で、9カードぶりに勝ち越しが決定。さあ、このまま一気に連勝街道を突っ走れ!
最後もピンチだった。3点リードの七回2死一、二塁。打席には4番・雄平。ラッキーセブンを前に、風船で黄色く染まったスタンドからは「頑張れ」コール。岩田は残された力を振り絞った。
5球目。フォークで空を切らせた。7回10安打無失点。耐えて、しのいで、今季初勝利をつかんだ。
「三者凡退が一度もない情けない投球だった。歯がゆい気持ちだった」。内容に納得できず、淡々と振り返った。ただ、勝利投手という事実だけは素直に喜べた。昨年8月20日に挙げて以来、252日ぶりの勝ち星だ。
「ゼロに抑えられて勝てたのでよしとしましょう、きょうは」
期する思いで臨んだ登板だった。今季はここまで4試合で0勝1敗。打線の援護に恵まれなかった試合もあったとはいえ、結果で期待に応えたかった。
崩れそうで崩れなかった。毎回走者を背負ったが、決定打は許さない。三回は上本、五回は鳥谷の好守で後押しを受けた。「いつも通り野手の守備に助けてもらい感謝です」。2桁安打を浴びての勝利は自身初。支えがあったからこそ投げきれた114球だった。
昨秋の日米野球。09年WBC以来5年ぶりに侍ジャパンに招集された。「いろんなものを盗んでいきたい。代表はそういうところやと思っている」。約2週間、一流の動きに目を凝らし、レベルアップを目指した。最終日の夜は沖縄でソフトバンク・松田、オリックス・金子らと「同級生会」を開催。技術面以外でも刺激も受けた。
4月29日。1936年に、阪神が甲子園で公式戦初試合を行った日だった。この試合は藤村富美男が完封し、聖地初勝利を挙げた。
球団創設80周年の今年、岩田が記念日に花を添えた白星は、チームにとっても価値ある勝利だった。開幕カード以来の3連勝で、同カード以来のカード勝ち越しも決めた。
岩田自身も追い風にしたい1勝だ。「次は内容のいいゼロを並べられるようにしたい。1つ勝ったのでいい方向にいくと思う」。曇り続けていた表情に少しだけ晴れ間が見えた。