岩田V打&2勝目「こどもの日」3連勝
「阪神4-2中日」(5日、甲子園)
岩田さまさまや!阪神は岩田稔投手(31)が、投げては7回2失点で2勝目、打っては六回に決勝の走者一掃三塁打と大活躍。チームの連敗を3で止めた。岩田は「こどもの日」3連勝。子どもたちに笑顔を届けた。
思いを乗せた白球が、勢いよく右翼線で弾んだ。岩田は一塁、二塁を駆け抜け、三塁へスライディング。立ち上がると、激しく手をたたいて、喜びを表現した。阪神投手では6年ぶりの三塁打。5月5日「こどもの日」。打って、投げて、走って、一男二女の父親がヒーローになった。
「たまたまです。初球のスライダーをとんでもない空振りをして、それがあったから当たったのだと思います」
甲子園のどよめきを大歓声に変えた。1-1の六回だ。
8番梅野が四球を選び2死満塁。代打も考えられる場面もそのまま打席へ。「ここで打ったらヒーローやな」。初球のスライダーは空振りしたが、カウント1-1から同じスライダーに食らいついた。和田監督が「岩田の執念」と評した値千金の一打。左腕も意気に感じて、打席に立っていた。
「最初に点を取られてすぐに追いついてもらったので、必死な思いで投げていた。それがベンチに伝わって、打席に立たせてもらえたのだと思う。前の自分だったら、代打だったと思います」
粘りの投球で2勝目をたぐり寄せた。初回、荒木、平田の連打で先制を許したが、二回以降は立ち直る。威力ある直球とツーシームがよく動いた。勝ち越した直後の七回に1点を奪われたが、7回を6安打2失点。これで「こどもの日」は自身3連勝。記録を聞くと目をパチクリさせて、ジョークを飛ばした。
「肘の手術をしたときに勝てた印象は残っているけど、3連勝は知らなかった。何かあるのかな。僕自身子どもやからかな(笑)」
今季初勝利を挙げた4月29日。帰宅すると、サプライズが待っていた。子どもたちはすやすや眠っていたが、テーブルに「手紙」が置いてあったという。手書きの文字を見ると胸が熱くなった。直接言葉は交わせなくても思いは伝わっていた。
「もっと、もっと、甲子園に来て、野球を見てください!」
今年2度目のお立ち台では、そうメッセージを送り、家族4人が待つ家路へ就いた。