能見4敗目…新井に被弾「僕の責任」

 「阪神0-10広島」(9日、甲子園)

 阪神・能見の唇がほんのわずかにゆがんだ。スコアレスの三回。1死から田中に右線三塁打を許し、続く菊池に四球を与えた。一、二回は得点圏に走者を背負ってもしのいだが、3度目は丸に1ボールからベルト付近のフォークを拾われた。鳥谷のダイビングも及ばず先制打が中前に転がると、マウンド上で喜怒哀楽を表さない固い信念が珍しく崩れた。

 「先に点を与えているので…」。6回5失点で3敗目を喫した前回登板の3日・巨人戦から中5日。挽回を期したマウンドは9安打を浴びながら、6回3失点。打線が中盤までに2度の満塁機を逃し、援護なく4敗目を喫した。相手先発は防御率0点台のジョンソン。先制されれば勝機が遠のくことを推察していたからこそ、均衡を破られた責任を負い、自身を戒めた。

 五回には新井に左中間へ2ランを被弾した。3ボールから外角の直球を左中間スタンドまで運ばれ、追加点を献上。初回、三回に背負ったピンチでは元同僚の主砲を直球で封じ込めていたが、3打席目に落とし穴が待っていた。「打たれたのは僕の責任」。コースを間違えることはなかった。それでも、弁解は嫌った。

 前回対戦の4月26日・広島戦(マツダ)は6安打無四球でチーム初の完封勝利を飾ったが、その再現はならなかった。最下位転落の敗戦を潔く受け止め、エースは雪辱の登板機会を待つ。

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