藤浪、今季初完投星で46日ぶり2勝目

 「ヤクルト1-4阪神」(14日、神宮)

 こんなピッチングを待っていた!阪神・藤浪晋太郎投手(21)が昨年9月以来の完投勝利をマークした。8安打1失点、9奪三振で、3月29日の中日戦以来約1カ月半ぶりの2勝目。チームを最下位脱出に導いた。苦しんだ日々はもう終わり。藤浪もチームも、ここから浮上や!

 勝てない苦悩を乗り越え、若き右腕がよみがえった。7試合ぶりにかみしめる白星の味は格別。大歓声を全身に浴びた藤浪が、堂々と勝者の道を進んだ。

 「長い期間、勝てなかったので、正直苦しかったです。悪い投球もあったけど、悪くない投球で負けたこともあった。早く勝ちたい気持ちはありました」

 1点リードの五回、先頭・成瀬を外角低め直球で見逃し三振に斬った打席が、この夜のハイライトだという。「投手の打席は自分のフォームを修正するチャンス。捕手の後ろを突き抜けるイメージで投げました」。続く六回は中軸を三者凡退に。最速155キロ直球を軸に、緩急を交えてベースを広く使う新たな投球術も効果的だった。その後も危なげなく、1人で最後まで投げきった。

 今年2月のキャンプ下旬、沖縄県内の小料理屋で知人とすしをつまんでいると、広島・前田が偶然、やってきた。「調子どう?」「すごくいいです」。1月の合同自主トレ以来の再会に、2人の会話は弾む。互いの近況報告を終えると、前田が切り出した。「今日受けた取材で晋太郎のことを聞かれたわ」。そしてニヤリと笑ってこう続けた。「一緒に自主トレしたから晋太郎には活躍してもらわんと困るって言っといた」。突然のプレッシャーに藤浪も苦笑い。

 昨年初めて食事した席で自主トレ参加を願い出た。球団の垣根を越えて快く受け入れてくれた先輩へ、恩返しの思いは強い。直接、教わった「脱力」は試合を重ねるごとに、少しずつだが、手応えをつかみ始めている。

 勝てない時期も決して下を向くことはなかった。癖を見破られたセットポジションは、グラブの位置を少し上げて修正。10日の休日はシーバス釣りに初挑戦。釣果は「ヒットすらしなかった」が、リフレッシュはできた。

 8安打1失点の投球を和田監督は「完投したのは大きいんじゃないか」とたたえた。次回は20日・巨人戦。3試合連続中5日起用は、信頼の証し。藤浪は「いい投球も1回じゃ意味がない」と言い切った。藤浪晋太郎の逆襲がここから始まる。

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