岩貞、聖地初星 背水マウンドで結果
「交流戦、阪神3-0ロッテ」(4日、甲子園)
こんなに気持ちいい勝利は久しぶりや!チームを快勝に導いたのは、先発した2年目左腕の阪神・岩貞祐太投手(23)。腕を思い切り振って脅威のロッテ打線をきりきり舞いさせ、七回途中、5安打無失点。今季2度目の登板で挙げた昨夏以来のプロ2勝目は、甲子園での自身初白星。これで5割復帰まであと1勝。勢いに乗って、さあ3連勝や!
苦しみの果てにあったのは、歓喜だった。「前回ふがいない投球をしてしまったので、今日にかける思いは強かったです」。先発の岩貞が、6回2/3を5安打無失点で今季初勝利。背水の覚悟で臨んだ13年ドラ1左腕が、魂を込めた投球を披露した。
「試合前は緊張していたのですが、福原さんや能見さんが声をかけてくださりました。『もうこれを逃したら今年は1軍に上がれない』。そういう気持ちで投げました」
初回、2本の安打で1死一、二塁のピンチを招いたが、4番・今江を右飛、5番・クルーズを空振り三振に仕留め窮地を脱出。六回無死一塁の場面では、4番・今江から威圧的な言葉が飛んできた。それでも「ロージンバッグをつけすぎていることだと思いますが、そんなルールはないので気にせず投げました」と臆することなく投げ、三ゴロ併殺打に仕留めた。
七回2死から吉田に四球を与え、代打のハフマンに左前打を許したところで降板。「ピンチを切り抜けてくださり、感謝です」。江越が打球をつかむのを確認すると「ヨッシャー」と拳を握りしめ、喜びを爆発させた。
2年目の今季は岩崎、岩本らとキャンプ時から開幕ローテを争ってきた。だが、結果が出ず後退。2軍戦でも納得のいく投球はできずにいた。満を持して挑んだ5月24日・DeNA(横浜)も、3回途中4失点でノックアウトを食らい、即2軍降格。もうダメなのか-。しかし、大学日本代表時から知る梅野は、左腕を信じていた。
「いいものを絶対持ってると思うんですけど、1軍は1球でも甘い球を見逃してくれない。でも、そこに気を付ければ岩貞は大丈夫だと思います」。降格後初の実戦となった5月29日のウエスタン・中日戦。左腕が「同じことは繰り返せない」と意気込んだマウンドで、捕手の梅野がその気持ちを後押しした。チェンジアップを有効に使い、6回1失点。女房役からのメッセージは、大きかった。
「一球一球、思いを込めて投げていきたいと思います」。やっと味わえた勝利の美酒。だが慢心はない。今からがスタート。逆襲の鐘が、高らかに鳴った。