呉昇桓 昨年日本シリーズのリベンジS
「交流戦、ソフトバンク4-5阪神」(10日、ヤフオク)
危うさを感じさせたのは、最初の3球だけだった。因縁うずまくマウンドで、走者を許さない3人斬りでリベンジ成功だ。阪神・呉昇桓が18セーブ目。期待通りの11球で、1点差を守り抜いた。
「3ボールになったのは反省ですけど、フォアボールを出さなかったので良かったです」
九回の攻撃は、送りバントのミスも絡んで無得点。その直後の登板で、先頭の今宮に3連続3ボール。嫌な空気が漂ったが、力で断ち切った。そこから3球続けた直球で空振り三振を奪うと、続く代打江川は左飛。2死となって、迎えたのは中村晃だった。
昨年の日本シリーズ第4戦、このヤフオクドームでの延長十回2死一、二塁。中村晃に右翼席へのサヨナラ3ランを浴びていたが、そんな苦い記憶への意識はなかった。「(日本シリーズの対戦など)そういうのは関係ない」。目の前の勝負だけに集中すると、3球目で遊ゴロに仕留めてゲームセットだ。
「1点差だったので、自分が上がった時にランナーを出さないように抑えることを考えていた」と呉昇桓。試合前に旧交を温めた李大浩との「韓国対決」はならなかったが、悔しさだけが残されていた場所で、過去を払拭(ふっしょく)する力投となった。