メッセ虎1万試合星スルリも8回1失点
「DeNA4-3阪神」(3日、横浜)
冷たい雨に打たれながら、阪神・メッセンジャーは今季最多142球を投げきった。8回5安打1失点。あとはベンチで歓喜の瞬間を待つだけだった。ところが、悪夢が待っていた。守護神・呉昇桓が打たれ、まさかのサヨナラ負け。力投は報われず、6勝目は吹き飛んだ。
「自分の仕事はできたと思う。ただチームが負けてしまったのはショックです」。助っ人は悔しさを押し殺し帰りのバスへ歩いた。
横浜スタジアムでの登板は打席でバットを構えず、無気力プレーと指摘された4月22日以来。あの姿から見違えるように気力が充実していた。ぬかるんだマウンドも「相手も同じ条件だから」と、スパイクで丁寧に足もとをならした。ファウルで球数が増えても、不運な安打を許しても、ひたむきに腕を振った。
五回1死二塁で打席に立つと、好機を広げる中前打。「やっと出ました。時間がかかってしまった」と振り返った今季24打席目の初安打が、先制打を呼び込んだ。尻上がりの投球で12奪三振。2桁奪三振は通算14度目で自身が持つセ・リーグ助っ人記録を更新した。
突然のアクシデントにも冷静に対処した。東京に移動した6月30日。ヤクルト3連戦で登板機会のなかったメッセンジャーは昼の便に乗車。すると東海道新幹線の火災による余波を受けた。約2時間半、車内に缶詰め状態となる中、メッセンジャーはシートから腰を上げた。車内を歩き腰痛防止に努めたという。当日こそ「ハードラック」と疲労感をにじませたが調整は万全だ。インターバル走やショートダッシュで体のキレを出し、ベストコンディションに仕上げていた。
「しっかり投げてくれた」と和田監督。首脳陣の信頼は完全に取り戻した。チームは一進一退の状況が続くがローテの中心に頼もしい助っ人がいる。