１２日の巨人戦（東京ドーム）後に阪神を襲ったハプニングの全容が１３日、明らかになった。試合終了のタイミングで東京都内のチーム宿舎が約１時間停電。一般客らに被害はなかったが、館内エレベーターの停止によって、帰阪を急ぐ虎ナインは球場で一時足止めされた。この非常事態にマット・マートン外野手（３３）とマウロ・ゴメス内野手（３０）が取ったアグレッシブな行動とは…。

　ｏｈ　ｍｙ　Ｇｏｄ！マートンもゴメスも天を仰いだ…。前日１２日のことだ。東京ドームで３時間３０分の激闘を終えた阪神ナインに想定外のハプニングが待っていた。阿部に１発を浴びながら呉昇桓が最終回を締め、夕方５時半にゲームセット。殊勲打の狩野がヒーローインタビューを受けている最中、マネジャーからチーム全員にアナウンスがあった。

　「宿舎で電気系統のトラブルがあって、全館停電だそうです。通路は真っ暗ですし、エレベーターも止まっているので、少し球場で待機してください」

　なんてこった…。３連戦３戦目のデーゲーム。チームは宿泊せず試合後に帰阪する。とりわけ家族持ちの選手は「早くマイホームに帰りたい！」。エレベーターがダメなら非常階段で部屋まで上がればいい。でも、待てよ。チーム宿舎は４３階建て。宿泊フロアは３２階だから、誰も挑むはずは…。

　Ｈｅｒｅ　ｗｅ　ｇｏ！マートンの掛け声を合図に、ゴメスも躊躇（ちゅうちょ）しなかったという。「早く帰ろうよ」。アベックで１８戦連続出塁中のＧＭ砲の息はここでもぴったり。部屋まで同行した通訳によれば、２人はホテル地下階でスタッフにバッグを預けると、「暑いぜ…」と大粒の汗を拭いながらサッサッサ。ユニホーム姿で計９９０段を約１０分で上りきったという。

　「前人未到、だと思います」。ご迷惑をお掛けして…ホテル関係者は申し訳なさそうに、それでも驚きを隠せなかった。階段は１フロア３０段。２０００年の開業以来１５年間、従業員も徒歩では１０階が限度だそうで、３２階までの“長旅”は「想像がつかない」という。

　この日の指名練習に２人の姿がなかったのは足がパンパンだから…ではない。主力の休養日に英気を養ったＧＭ砲に球宴前最後の２戦を託す。マートンは対戦別最高の打率・３３３と広島と好相性だ。球場外でも、助っ人のタフネスさは頼もしい限り。さあ、ふくらはぎを入念にマッサージして、鯉倒頼む。