マートン、良太連弾で逆転へ流れグイッ
「阪神10-8ヤクルト」(31日、甲子園)
重い扉をこじ開けた。阪神のマートンと新井良が、ぶちかましたチーム今季3回目の2者連続アーチ。ふた振りで劣勢の流れを変えた。
1-6で迎えた四回無死一塁。3ボールから4球目の外角高めの球をマートンは見逃すと、四球を確信して歩き出した。だが判定はストライク。バットを放り投げたが、イライラを募らせることはない。「1球1球、気持ちを切り替えるだけ」。5球目も見逃してフルカウント。最後まで冷静さを失わない。
そして6球目。成瀬の変化球を確実に捉えた。白球は左翼席へと吸い込まれる。15試合、59打席ぶりの5号2ラン。沈んでいた虎党が沸いた。
新井良が続く。変化球をバックスクリーンに運ぶ61試合、66打席ぶりの2号ソロ。「しっかり自分のスイングをしようと思った。2者連続アーチ?またできるように頑張ります」と笑みを浮かべた。
4点を奪ったこの回の攻撃が、大逆転劇への原動力になった。和田監督は「ベンチも行けるぞ、という雰囲気になった。みんなが勝つ、という気持ちが一つになった」と目を細めた。
さらにマートンはトドメも刺した。八回、8-7と勝ち越し、なおも2死満塁で中前に運び、2点を追加した。蒸し暑いグラウンドで集中力を切らすことなく、猛打賞をマークした。「自分としては1-6からチーム全員で諦めずに勝てたこと(が良かった)。今後も厳しい試合はあるけど、チーム全体で諦めずに試合をすることが大事」と胸を張り、先を見据えた。
審判の判定などにイラつき、集中力を欠いたプレーでチームの輪を乱すようなことはもうない。Vに向かって突き進む虎にとって、マートンの存在は必要不可欠だ。