藤浪で奪首!マー君以来高卒3年30勝
「DeNA2-5阪神」(8日、横浜)
やっぱり頼りになる男だ。阪神・藤浪晋太郎投手(21)が、制球に苦しみながらも7回6安打2失点10奪三振で、リーグトップタイの9勝目を挙げた。これで通算30勝となったが、ドラフト制後、高卒3年目で30勝に到達したのは史上10人目の快挙。チームは再び首位の座を奪還した。
藤浪の勝利への執念が勝った。3点リードの七回2死。3番梶谷の緩いゴロを捕球すると、一塁ベースへ猛然とダッシュした。「トスしようとしたら、ゴメスがカバーに入っていなかった」。走者と交錯しながらも、藤浪の足が一歩速かった。7回123球を投げ6安打2失点。粘りの投球でハーラートップタイ9勝目を手にした。
「何とかゲームはつくれましたけど最低限です。初回、点を取ってもらった後に、取られたのは反省点です。修正というか、納得できたのは七回ぐらい。次はしっかり投げられるようにしたいです」
理想のイメージに、現実が追いつかない。初回、投球フォームのバランス、リリースポイントがかみ合わず、先頭への四球から連打で逆転を許した。それでも、中盤からは軸足に体重を乗せるフォームに修正。カットボールを中心に組み立て、「鶴岡さんがうまくリードしてくれました」と女房役に感謝した。見せた粘りの投球は成長の証しだ。
松坂、ダルビッシュら球界を代表する投手に肩を並べた。高卒3年目での通算30勝到達は楽天・田中(現米大リーグ・ヤンキース)以来の快挙だ。田中の投球に、心を打たれたシーンがある。13年の楽天と巨人の日本シリーズ第7戦。前日160球を投げた田中は、鬼気迫る表情で最終回のマウンドに立った。日本一を決めるセーブを挙げ、胴上げ投手に。寮の自室でその瞬間をしっかりと目に焼き付けた。
「自分なら?いくと思います。それだけの立場であれば。クローザーの方がいるわけですが、気持ち的にはいきたい。あの状況は『いきます』と言わざるを得ないと思います」
チームを背負い頂点に導く-。この姿こそ藤浪が目指す超一流の投手像だろう。
シーズン7度目の2桁奪三振は、チームでは04年の井川(8度)以来11年ぶり。これでリーグ最多145奪三振。2位メッセンジャーの128個を大きく引き離した。史上9人目の高卒1年目から3年連続2桁勝利も王手だ。次回は14日からのヤクルト3連戦(神宮)に先発予定。前回KOされた相手をリベンジし、一気に10勝目を決める。