マートン先制弾も「明日の試合が大事」
「巨人12-3阪神」(19日、東京ド)
胸のすくような阪神・マートンの一発がはるか昔のように感じられた。阪神ベンチにとって3時間25分のゲームがこれほど長く感じられた夜はないだろう。試合終了後、最後尾でダッグアウトから出てきた背番号9は疲労感をにじませながら、淡々と試合を振り返った。
「一番大事なことは試合に勝つことなので、それができなかったことは残念だよ。僕自身の打撃の感覚は悪くないんだ。ゴロでアウトになることが多かったので、きょう打球に角度がついたことは良かったけどね…」
安打製造機の7号ソロでG党が静まりかえったのは二回だ。インハイの直球をドンピシャのタイミングで捉え、左翼席中段に運ぶ特大弾を放った。「内角の球をうまく打つことができたよ」。両手に好感触を残したまま広報に預けた試合中の談話が映えない。五回の暗転で、先制弾を浴びせた相手が内海だったことも記憶が薄れるほど、無残な夜になった。
前夜はマイコラスの前に3打数無安打。「直球も球速の違う2種類があって素晴らしい」。一夜明けで完敗を認め、気分を一新した。試合前にベンチ裏の室内場でオマリー打撃コーチ補佐とともに修正をはかった。打撃練習では右方向を意識し、感覚を微調整。16日・ヤクルト戦から音なしで迎えたこの夜。第1打席で特訓の答えを出し、8打席ぶりの快音を響かせた。
八回に小山から左翼へ2本目の安打を放った。二塁を狙いアウトになったが、今季33度目のマルチ安打はゴメスと並びチーム最多タイだ。先制弾は結果的に空砲になってしまった。それでも残り34戦を戦う道中、マートンが今季初めて巨人に見舞った放物線が貴重な足跡になると信じたい。「明日の試合が大事。何とか勝てるように…」。照準を菅野撃ちに定め、東京ドームを後にした。