岩田 気迫勝ち!悲壮覚悟で7勝目
「阪神3-2DeNA」(21日、京セラ)
お立ち台に注がれる大歓声に、阪神・岩田は帽子を取って応えた。丸刈り姿は決意の表れだ。「背水の陣で、これでダメだったらファーム行きやな、と危機感を持って投げました」。八回途中まで、6安打1失点。3試合ぶりの今季7勝目で、チームの連敗を3で止めた。
本来の粘りの投球を取り戻した。2点リードの五回。守備が乱れ2死一、三塁のピンチを背負った。4番筒香を迎えて「ここで打たれたら負け。逃げていたら打たれる」と覚悟を決めた。内角を3球続けて二ゴロに。アウトを見届けると、左拳を力いっぱい握った。
「いつも野手の方に助けてもらっているので、逆に助けられて良かったです。(7勝目は)スッキリしました。今までモヤモヤした気持ちがあったので、少しは晴れました」
登板前まで8月は未勝利。6敗目を喫した15日・ヤクルト戦後に髪を切ると、調整方法も見直した。下半身のウエートトレーニング量、ダッシュ本数を増やして、体に刺激を与えた。
左腕のルーティンはキャッチボールだ。登板日は球場に向かう前、それ以外は練習後に公園で個人トレーナーの稲川翼氏と行う。遠征先でも崩さない。キャッチボールできる広場を探し、球質や、体の状態を確認する。
「オレは病気のこともあるし、体が動いてこなくなる年齢も近づいてきている。その前に何かしないと」。稲川氏は先月、大阪市内に「つばさ鍼灸整骨院」をオープンした。岩田はお祝いに院内トイレに温水洗浄便座を設置。「必要ないらしいけど、オレが使うから(笑)」。この夜の納得の勝利は、相棒へささげる祝い星だ。
白星も1つ先行し、7年ぶり2桁勝利へ光が差した。「ここからがスタートという気持ちでやっていきたい」。シーズンの勝負どころを迎えて、岩田が自信を取り戻した。