和田監督、初回エンドラン失敗に大激怒
「広島2-0阪神」(27日、マツダ)
打てない…。阪神は広島・前田に八回まで4安打無得点に抑えられ、夏の長期ロード最終戦で今季12度目の零敗。2位・ヤクルトに2ゲーム差に迫られた。和田豊監督(52)は、大和外野手(27)が初回にバスターエンドランを試みながら空振りしたことに「バットに当てんといかんやろ」と怒りをあらわにした。
勝負をかけた采配だったからこそ、言葉は厳しくなる。もどかしさも込められていた。一回に仕掛けたバスターエンドランが失敗。普段は、報道陣に冷静に対応する和田監督が、怒りを抑えられなかった。
一回無死一塁の場面。大和は初球、2球目にバントの構えを見せたが見送った。そして1-1からの3球目。バントの構えから打ちにいき、空振り。走っていた一走の鳥谷は二塁でタッチアウトになった。
指示はエンドラン。当然、バットに当てなければならない。「そんなの最低条件。2番でも7番でも8番でも。エンドランはバットに当てる」。指揮官の顔がみるみるこわばり、言葉には怒気が含まれていた。ここまで感情をむき出しにした指揮官を見るのは、今年初めてだった。
これまで無死一塁の場面では、送りバントをするケースが多かった。確実に二塁に進め、点を奪いにいく。その方針をスパッと切り替えたのには理由があった。
前田が今季、初回に失点した7試合で広島は全敗し、前田自身も4敗している。立ち上がりが攻略のポイントであることは明らか。「そういうミーティングをしたよ」。指揮官は試合前に語っていた。前田を揺さぶり、初回に1点でも多く取る-。手堅い作戦は選ばなかった。堅実な虎将が繰り出した勝負手こそが、バスターエンドランだったのだ。
しかし…チャンスは一瞬にしてしぼんだ。大和は「何とかバットに当てないといけない場面だった」と声を絞り出した。
五回には1死一、二塁で岩田が送りバントに失敗、併殺打となった。「マエケンは、何本もヒットを打てるピッチャーじゃない。エンドラン、バントの失敗もあったしね」。ミスが続けば、勝利は遠のく。
広島戦は残り9試合。今後、前田と3度対決する可能性がある。黙ってやられるわけにはいかない。初回に見せたような積極的な攻めこそが活路を開くと信じる。
夏のロードは12勝8敗。「きょうで長期ロードは終わる。もう一回、あしたから新たな気持ちでいきたい」。和田監督の攻めのタクトこそ、勝利を引き寄せるはずだ。