阪神、終盤に猛攻7点見せた底力
「阪神8-11ヤクルト」(30日、甲子園)
簡単には負けない。和田阪神が1-11の劣勢から、八、九回に7点を返す猛追を見せた。序盤に好機をつぶしたマット・マートン外野手(33)が2打席連続適時打、マウロ・ゴメス内野手(30)が2安打1打点。ともに終盤に快打を放った。優勝争いは3位・巨人まで1ゲーム差にひしめく大混戦。最後に見せた粘りを、意地を、「勝負の9月」に必ずつなげる。
連なる快音に期待が膨らんだ。スタンドの声援が1球ごとに勢いを増す。大敗を覚悟し、完全に諦めていた勝利の二文字が頭をよぎる。終盤の猛追は、劣勢でささくれ立っていた虎党の心を確かに熱くした。八、九回で7点を返し、1-11から3点差まで迫った粘り、意地。その中心に、前夜ともに無安打と精彩を欠いたマートン、ゴメスの2人がいた。
序盤とは別人のような打撃でマートンが魅せた。初回に先制した直後、1死一、二塁で見逃し三振に倒れ、2打席目も凡退。だが六回に左前打を放つと、八回無死一、二塁で左線に適時二塁打。九回も1死一、三塁で中前適時打を記録した。
今季11回目、チームトップとなる猛打賞で、日本通算1000安打まで残り1とした。マートンは「どの打席も大事。最後まで諦めないという気持ちでやっていた。最後はいい感覚で打てた」と確かな手応えを口にした。
不振にあえいでいたゴメスも2安打1打点と復活の兆しを見せた。3打席目まで2度好機で凡退するなど無安打だったが、八回に中前打。九回1死一、三塁では中越えに適時打を放った。「負けてしまったので、気分がいいわけではないけど、この勢いを続けていけたら」と前を向く。
投手陣の11失点が響き、2位・ヤクルト、3位・巨人に1ゲーム差に迫られた。それでも和田監督は試合後、八、九回の追い上げを「何試合か苦しんでいた選手にヒットがね。ゴメスを含めていい形のヒットが出ている。上昇するきっかけにしてほしいし、していかないといけない」と評価した。そして「8月は尻すぼみになった。ここで仕切り直して、勝負の9月に入っていきたい」と力強い表情で言い切った。
勝負の9月に向けて「またあさってから頑張りたい」とマートン。ゴメスも「きょうの負けはいい意味で忘れて、あした1日挟んで頑張りたい」と意気込んだ。夏休み最後の試合で見せた終盤の猛攻。必ず次につなげる。そして大混戦の覇権争いを絶対に勝ち抜く。