今季初!4番・福留が試合決める一撃
「阪神5-1広島」(3日、甲子園)
試合を決めたのは阪神の4番・福留のバットだ。1-1の六回1死。福井の甘く入ってきたスライダーをフルスイングした。打球は失速することなくグングン伸びる。「『スタンドまで届くか、抜けてくれ』と思いながら走っていました」。右中間スタンド最前列に着弾し聖地が歓喜に沸いた。
「うちの4番はゴメスだから。その中でゴメスの状態が悪いからたまたま4番に座っただけ。4番というより、4番目の打者と思って打席に行きました」
ゴメスの不振により、中日時代の2007年6月20日・オリックス戦以来の4番に座った。だが特別な意識はない。1、2打席の凡退から修正して放った8月20日・巨人戦以来10試合ぶりの19号は、チームに喝を入れるような会心の一撃だった。
和田監督は「誰が見てもゴメスを外すときは孝介(福留)しかいなかった」と起用の意図を説明。見事に起用に応えてくれた一撃に、「あそこで決められるのが孝介」と最大級の賛辞を贈った。
38歳のベテランにはチーム全体を見渡す包容力がある。昨年オフの球団納会でのことだ。「横田!もっと周りを見なきゃダメだ。先輩に話を聞いて勉強しないと。うまくならないぞ」。18歳も歳が離れた将来の主砲候補にゲキを飛ばした。
すると今季2年目の横田はすぐに実行した。春季キャンプでは関本に近寄り打撃指導を請い、ウエスタン・ソフトバンク戦の試合前には松中の元へ行き、右手の使い方を学んだ。「視野を広くもってわからないことがあれば聞いていきたい」。福留の言葉が横田を突き動かした。
「今日で連敗が止まったので、今度は連勝といけるように頑張ります」と福留。ゴメスの状態が上がるまでは4番の椅子に座り続ける。チームのために、虎党のために福留はバットを振り続ける。