和田監督がマウンドでゲキ「勝負だ!」
「阪神4-3巨人」(9日、甲子園球場)
3-3の延長十回2死二塁。このピンチで打席に村田を迎えた。一打出れば勝ち越される局面。阪神・和田監督はベンチを立つと、通訳を引き連れ、マウンドに歩を進めた。
そして指揮官は汗がしたたり落ちる呉昇桓を見つめ、こう口を開いた。「勝負」。村田を歩かせて、続く小林か、小林の代打と勝負する選択肢もあった。だが選んだのは村田との真っ向勝負。意気に感じた守護神は魂を白球に込め、直球を投げ込んだ。初球は150キロの直球。そして2球目、149キロの直球で中飛に仕留めた。
「迷わせてはいけない。代打もありえるし、思い切って勝負」と振り返る和田監督。続けて「そういう時期に入っている。1球1球が大事になってくる。これからもそういうことはあると思います」と今後も積極的に自ら動くことを予告した。
和田監督の熱い思いに応えた呉昇桓だが、瀬戸際での粘りが勝利を呼び込んだ。九回には無死一塁で、けん制悪送球。無死三塁とピンチを招いた。だがここから立岡を遊ゴロに抑え、代打・高橋由は遊飛に。2死までこぎ着け、最後は坂本を147キロの直球でねじ伏せて中飛に打ち取った。今季6回目となった2イニング登板で無失点。「一人一人、集中して抑えるだけです。いつも通り自分のボールを投げるだけだった」と、納得の表情を浮かべた。
8月18日からの巨人3連戦(東京ドーム)で同一カード3連敗を喫し、チーム全員がリベンジの思いを強く持っていた。「ベンチだけじゃなくて全選手、全スタッフが、この一戦にかける気持ちが強かった」と和田監督。宿敵との天王山第1ラウンドに先勝。全員の気持ちが、一つになってつかんだ価値ある勝利だった。