マートンなめらか「チーム全体の勝利」
「阪神3-0中日」(15日、甲子園球場)
大和が生還した瞬間、ベースカバーに走った大野が両手を膝についたままガックリとうなだれた。八回、阪神・マートンが放った犠飛は相手エースの戦意を喪失させるほどに価値ある一打となった。
連敗脱出の試合後、助っ人は「チーム全体の勝利。藤浪がいい投球をしてくれたし、良太もいいところで打ってくれた。犠飛?大和の走塁がすごく助かりました」と口調もなめらかに振り返った。
ここ4試合無安打。特に前カードの広島戦では審判のストライク、ボールの判定に神経質になった。周囲の心配をよそに初回2死から訪れた打席は、浮いたスライダーを左翼線への二塁打にして見せた。19打席ぶりの快音はチームに勇気をもたらせた。
そして2点リードの八回。1死一塁から大野のけん制悪送球から大和が三塁へ進み、ここでマートンは追い込まれながら右翼へ持って行く犠飛で貴重な追加点を挙げた。
「スイング自体はいい。ゾーンに来ればいい打撃ができるんだ」と何事もなかったかのように話した。
平田ヘッドコーチは「失敗したらこっちの責任。信じて送り出している」と信頼を寄せた。この男のバットなくしては悲願達成はない。今はただ信じ続けるだけだ。