代打・関本が執念のポテン同点打も…
「DeNA3-2阪神」(18日、横浜スタジアム)
阪神・関本はうつむいたまま、横浜スタジアムの駐車場を歩いた。起死回生の同点打が勝ち星につながらない。「敗者は多くを語らず…やわ」。悔しさを押し殺すように表情を和らげ、バスに乗り込んだ。
代打の切り札がその名に恥じない勝負強さを発揮した。1点を追う七回。マートン、ゴメスの安打、今成の四球などで1死満塁のお膳立てが整うと、和田監督から代打指名を受けた。1ボール2ストライクから内寄りの直球を振り抜くと、打球は「神様」の意思に反して逆方向へ。フラフラッと舞い上がった飛球が一塁手の頭上を越え、フェアゾーンにポトリ。二塁手が回り込んで打球を処理する間にマートンが同点のホームへ駆け込んだ。
「気持ちで打った。見栄えは良くなかったけれど、あの場面では関係ない。結果的に走者をかえすバッティングができて良かった」
大混戦の佳境で打席の内容、打球の質なんて構うつもりもない。1点が欲しい局面で1点をもぎとる打撃を描いて出番を待つ。“不格好な”同点打に横浜の左翼席がこの夜一番の拍手を送った。代打打率は今季・231ながら、満塁機では・333。塁が埋まれば切り札の本領は際立つ。
背筋痛で8月6日に出場選手登録を抹消された。今季2度目の故障離脱は本人も想定外だった。阪神生え抜き19年目の38歳。1打席にかける男が背水の覚悟を決めてリハビリに取り組んできた。離脱中、鳴尾浜の球団施設を訪れる時間は早朝1番手。「車の位置をみたら何時に来てるか分かるでしょ」。おどけて照れを隠したが、駐車場のポジションはおのずと施設に最も近い場所になっていた。
7日に1軍に合流した関本への依存度は狩野の抹消によってさらに高まっている。不格好でもいい。遅れてきた神様は泥くさくV戦線に貢献する。