福留、恩人の中村GM訃報にショック
「巨人3-2阪神」(23日、東京ドーム)
意地だった。バットを振り抜くと、力強く右拳を握りしめた。阪神・福留が一時は同点となる適時打。2日・広島戦以来の3番に戻り、土俵際まで追い込まれたチームを鼓舞した。
1点を追う三回だった。2死から鳥谷が中堅左へライナーを運ぶと、好走塁で二塁を陥れた。続く大和は死球を受けると、地面にヘルメットをたたき付ける気迫を見せた。
目の前での後輩の奮起を無駄にはできなかった。「2死から1、2番でチャンスをつくってくれたので、何とか走者をかえしたいという気持ちだった」。ポレダの内角直球を捉えて一、二塁間を破る。一塁上でも激しく手をたたいた。22日・巨人戦に敗れて3位へ転落。落とせない試合にかける気合を見せた。
しかし、活躍も実らずにサヨナラ負け。さらに試合後は、12年オフに自身の獲得へ尽力してくれた中村GMの訃報を伝えられた。
「阪神に入るに当たって、最初にGMから声をかけていただいた。こうやってプレーできているのはね…。ただ、びっくりしている。振り返ると今日の試合が悔しい。ご冥福をお祈りして、ゆっくり休んでもらいたい」。屈辱的な敗戦に重なった恩人の急逝。奮闘を続けるベテランにとっては計り知れないショックが残る一日となった。