福留20号で連敗脱出 中村GMに弔い星

 「広島0‐3阪神」(25日、マツダスタジアム)

 阪神の福留孝介外野手(38)が急逝した中村勝広GM(享年66)にささげる一発を放った。一回1死一塁で、右中間へ自身9年ぶりの大台となる決勝の20号2ラン。阪神移籍の際に獲得に動いてくれたのが中村GM。優勝こそ厳しい状況ではあるが、天国の恩人に全力でプレーする姿をこれからも届ける。

 福留の一発が、天国の中村GMにささげる勝利へとなった。優勝戦線から一歩後退し、4連敗と沈むチームに喝を入れるような会心の一撃。まだ戦える‐。3日・広島戦(甲子園)以来17試合ぶりの今季20号に「いい感触で捉えられました」と納得の表情を見せた。

 「ここのところ、相手が先制してゲームの主導権を握られていたようなゲームが続いていた中でしたし、先制点を取ることができて良かったです」

 初回1死、今成がしぶとく中前へ運ぶと、続いて打席に福留が入った。カウント1‐1からの3球目、甘く入ってきたシュートだった。フルスイングで捉えた打球は真っ赤に染まる右中間席に着弾。「先制することによって裏の能見の投球も変わってくる」。その言葉通り、左腕は7回4安打無失点と快投を披露。福留の先制2ランが流れを呼び込んだ。

 2、3打席目は四球を選び好機を演出した。「まだまだ勝つという姿勢を見せていかないといけない」。10年ぶりのリーグ優勝は厳しい状況だ。しかし、背番号8の心の根が折れることはない。亡き恩人にささげる白星。23日に死去後、勝利をつかめなかったが、やっと弔い星を届けることができた。

 「僕が今、阪神でプレーできているのもGMが声をかけてくれたから。(死去してから)なかなか白星とはいかなかったけど、ここから勝ちをつなげられるようにしたい」

 今シーズンこそ大車輪の活躍を見せているが、メジャーから13年に阪神へ入団して以降は度重なるケガなどもあり、結果を残すことができていなかった。それでも、好きな野球を続けられる。そんなフィールドがあるのはタイガース、そしてチャンスを授けてもらった中村GMのおかげ。だからこそ、強い思いがある。

 「昨日は自分が打てば変わったという場面があった。今日は打てて良かった」。福留のバットがチームを救う。優勝の可能性がある限り諦めることはない。GMの心が宿った戦士が、残りの試合を全力で戦い抜く。

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