江越が魅せた!走攻守でチーム救う
「阪神2‐0巨人」(28日、甲子園球場)
阪神・江越が芝生を疾走した。試合開始直後。巨人の先頭打者・立岡が放った、左中間への飛球に素早く反応した。
「ちょっと前に寄っていたし、マートンがカバーに入っているのも見えたので、思い切っていった」
左翼の定位置からやや中堅寄りで、浜風で左翼方向に流される打球をダイビングでつかみ取った。高い身体能力を感じさせるビッグプレーが、“江越劇場”の幕開けだった。
四回1死はポレダの外角直球を逆らわずに打ち返した。力強いゴロで一、二塁間を破る7打席ぶりの右前打。続く鶴岡の3球目にスタートを切り、2個目の二盗も決めた。
運も味方につけた。六回2死は粘った末、8球目を打ち上げた。だが、二塁、遊撃、中堅の真ん中への飛球を、巨人守備陣が譲り合って芝生へポテン。その間も全力で走っており、二塁を陥れた。
「打撃はラッキーだったけど、走塁は次の塁を狙うという意識でやっているので」。まだまだアピールしなければいけない立場。試合中に集中力が途切れる瞬間はなかった。
1年目は4度も2軍降格した。ただ、1軍での経験は無駄にはしていない。プロ入り後、対戦相手のデータをノートに取り始めた。「投手の特徴や、感じたことを書くようにしている」。自身を「成功より失敗が記憶に残るタイプ」と表現する。だからこそ、同じミスを繰り返したくない。脳と体に残る記憶と、手元に残したデータを成長へとつなげようとしている。
今も全てが経験だ。リーグ優勝の可能性は消滅したが、CS進出をかけた戦いは続いている。「チームが勝つことだけを考えてやっている。勝つために自分ができることをやりたい」。残り3試合。1軍でプレーできる喜びを表現し、成長への足がかりをつかむ。