和田監督、最後の指令…猛虎再建へ提言
今季限りで退任する阪神・和田豊監督(53)が13日、大阪市内の電鉄本社に坂井信也オーナー(67)を訪ね、シーズン終了の報告を行った。その後、記者会見した指揮官は、31年間着続けた縦じまに別れを告げ、猛虎再建へ提言した。
その目には光るものがあった。選手、コーチ、監督と31年間もの長い間、袖を通してきた縦じまのユニホーム。だがついに、愛着のある戦闘服とも別れを告げる日が来た。「まだちょっと実感が湧かない。まだユニホームを着て一緒に戦っている、そういう気持ちがある」。和田監督は時折言葉を詰まらせ、心境を語った。
球団創設80周年の今季。「和田豊に託していただいた」と意気に感じてタクトを振るった。一時は首位を走ったが、あと一歩で優勝を逃した。至上命令だった10年ぶりリーグ制覇。その責任を取り、志半ばでユニホームを脱ぐことを決めた。
愛着のあるチームだからこそ、強くあって欲しい。そのために最後に虎戦士へ提言した。まずは、苦手投手の克服だ。今季は0勝3敗の巨人・マイコラス、4戦4敗の広島・前田、0勝4敗の黒田と同じ投手に何度もやられた。「同じピッチャーに何回もやられるのはプロとして恥ずかしい」。来季こそ打線が苦手投手を攻略せよ-。野手陣へ奮起を促した。
次は投手陣。リリーフ陣は安藤、福原のベテランがフル回転したが、「若手が入り込んでくるようなそういうピッチャーをつくれなかった」と振り返る。その願いを込め、松田、石崎、歳内の名前を挙げて、来季こそベテランを脅かす存在になることを願った。さらに先発陣に対しても「5、6番手を定着させられなかった」と、一本立ちできる若手の台頭に期待。また「壁を破るための創意工夫」が大事だと訴え、投手、野手すべての若手にげきを飛ばした。
「(阪神が)どんな姿で来年の開幕を迎えるか、私も楽しみ」。和田監督の今後は未定だが、虎を応援し続け、ずっと見守るつもりだ。