陽川 柵越え51発!変身の秋や
「阪神秋季キャンプ」(1日、安芸)
阪神・陽川尚将内野手(24)が1日、特打を含むフリー打撃で51本の柵越えを放った。金本監督が将来の「4番候補」として期待を寄せる若虎は現在、軸回転で打球を飛ばす“金本打法”を習得中。17日間のキャンプで振り込み、極意を体に染み込ませる。
安芸の空に陽川の打球が舞い上がる。金本監督率いる新生タイガースの秋季キャンプ初日。指揮官が将来の4番候補と位置づける男が、自身の長所をこれでもかと見せつけた。フリー打撃で10本の柵越えを放ち、夕方の特打では推定140メートルの場外弾を含む41発。強烈な打球音がグラウンドに響きわたった。
17日間に及ぶ秋季キャンプ。陽川は「しんどいですけど、どんどん取り組んでいきたい」と覚悟を決めていた。10月28日に監督と対面し、授けてもらった打撃の極意。この日も意識を置きながらバットを振り込んだ。「なんとかこの期間できっかけをつかみたい」。特打も合わせた326スイング中、51本の柵越えがその成果だ。
ステップ時に体が前に突っ込む悪癖が、成長を邪魔していた。指揮官からは「顔の位置を動かさず、軸を意識して振るように」というアドバイスを受けた。ボールを迎えにいくのではなく、体の軸回転でスイングする。監督が現役時代、意識していた部分でもあった。
「頭が前に出てしまうと、ボールを捉えたときの力の伝わり方も違うと思う」。ルーキーイヤーの昨年と同様、今季も1軍出場はゼロ。ウエスタンでも打率・213と結果を残せなかった。だからこそ、大卒3年目となる来季にかける思いは強い。後がない、という危機感もあるだろう。
そんな若虎に対し、「腰の位置がしっかりしてきた。一番最初、甲子園で見たときよりは、見栄えは全く変わっている」。金本監督も、わずかな期間での着実な変化を感じ取っている。
秋季キャンプは始まったばかり。成長のヒントはつかんだ。南国の地で、陽川は「意識してやっていきたい」と“金本打法”の習得を最重要課題としている。