掛布2軍監督、若虎よ見えない敵と戦え
阪神・掛布雅之2軍監督(60)が23日、若虎に対し、ライバルに勝つためには「怖さを持つこと」こそがレベルアップへのカギだと訴えた。この日は兵庫県の高砂市野球場で『三菱自動車親子野球教室』に参加。11チーム、70人の子供たちに続けることの大切さを説いた。
若虎のオフの過ごし方を問われると、掛布2軍監督は子供たちに野球を教えていた柔和な表情からプロの顔になった。
「怖さを知ることなんですね。僕も、江川はどんな練習してるんだろうと思いながらバットを振った。分からないから必死で練習するんです。落合さん(現中日GM)とも同じ意見になったんですよ。チーム内だったり、他のチームのライバルだったり、見えないものと戦う怖さ。これに強くないとダメだと思うんですよ」
金本監督も話す「オフこそ競争」。この時期にいかに追い込めるか。その上で、どう追い込むべきかを口にした。
「一人でやる時間をつくってほしい。素振りでもシャドーピッチングでも。最後は誰も助けてくれませんから。打席に入るのもマウンドに上がるのも一人。自分に強くならないと勝てないんですよ」
現役時代、スキートレなど自主トレは一人で行ってきた。チームメートもライバル。レギュラーを死守するために彼らを上回らなければならない。手を抜けば、負けるかもしれない。自主トレは見えない敵と戦い続ける苦行だった。
「だからキャンプは笑顔でできたんです。だって、見えるでしょう。誰がどんなレベルでやってきたか」
合同自主トレを否定はしない。「いろんな練習ができますから。ただ、その中でも30分でいいから一人で練習する時間をつくってもらいたい」と話した。
この2年、DCとして見てきた2軍。練習量が少ないとは思わなかった。では、何が足りないのか。ソフトバンクの強さを見て気づいた。「ソフトバンクは組織で怖さをつくっている」。2軍でさえ、3軍に落ちるかもしれないという怖さが、強さの秘けつだと言う。
「僕は33歳で引退したけど、短いとは思わない。やれるだけやったから。若い選手にも後悔はしてほしくない。だから、怖さを感じながらやるのが大切だと思うんですよ」
自分自身をどこまで追い込めるか。若虎を思うからこそ言葉は熱くなっていった。