掛布2軍監督 陽川よG岡本に勝て
台湾で行われているアジア・ウインターリーグを視察中の掛布雅之2軍監督(60)が15日、日本-欧州戦(台湾洲際)を生観戦。「3番・三塁」で先発出場し、4打数1安打に終わった陽川尚将内野手(24)に対し、競争の大切さを強調した。今は同じチームで戦う巨人・岡本和真内野手(19)とお互いが刺激し合い、成長していく姿を願った。
赤黒く日焼けしたまな弟子を見て、掛布2軍監督は確信した。ウインターリーグという環境は、育成のための最適な土壌。同年代の選手とライバル関係になり、刺激し合いながら成長していく。絶対に負けたくない、という強い気持ちが飛躍へのエネルギーだ。特に、陽川には競うべき選手が身近にいる。
「岡本くん(巨人)の打撃はしっかりしているよね。意識するところはあるんじゃないかな。負けたくないとか、競い合う環境がこの大会にはあるよ。そういう意識の中の野球というのは、本当に大事なことなんですよ」
この日「4番・遊撃」で先発出場した岡本は、鮮やかに3安打を放った。今季1軍戦に17試合に出場し、将来も期待される19歳。現時点では相手が上かもしれないが、負けるわけにはいかない。掛布2軍監督は、台湾でそんなまな弟子の姿を目に焼き付けていた。
「自分のときは巨人の原、広島の山本浩二さんがいたんだよね。絶対に負けたくない、負けてはいけないと思ってやっていました」
阪神の4番としての絶対的なプライド。それは、ライバルがいたからこそ芽生えたものでもあった。かつての自分をまな弟子に置き換える。競争を激化させる環境は、台湾の地に確かにあった。
本人同士の意識も強い。陽川が「負けたくないと思っています」と言えば、岡本も「意識してやらせてもらっています」とライバル心むき出しだ。競っているという打率も陽川が・370で、岡本が・391。好アベレージを誇る要因はやはり互いの存在だろう。
ウインターリーグの視察初日。背番号31は最後にこう話した。
「一番大事なことは自分に勝つことだよ」
くじけそうになったり、あきらめそうになったとき、弱い自分の心に打ち勝てるかどうか。それを乗り越えた先に一流がある。