金本監督 呉退団痛いけど新助っ人期待
阪神・金本知憲監督(47)が16日、都内で取材に応じ、不法賭博容疑で退団した呉昇桓投手(33)について初めて胸の内を語った。かねて残留を切願していただけにショックは大きく、マートンとのダブル退団の影響についても吐露。代役探しは困難だが、獲得の決まったマット・ヘイグ内野手(30=ブルージェイズ)、そして球団が現在交渉中の守護神候補にも期待を寄せた。
金本監督は予期せぬ呉昇桓の退団について初めて心境を語った。
「40セーブを挙げたピッチャーだから。2年連続タイトルを獲った抑えがいなくなるわけだから、そりゃ誰が見たって痛いよ」
代役のきかない守護神がチームを去った。メジャーを夢に抱いていた情報は耳にしていたが、不法賭博容疑で球団が交渉を打ち切らざるを得ない結末が待っていようとは、思ってもみなかった。痛い…。それ以外に言葉が見つからなかった。
呉昇桓は2年契約最終年の今季、チーム最多の63試合登板で12球団最多タイの41セーブを挙げ、2年連続セーブ王に輝いた。「スンファンありきで計算しているから、いなかったら困ってしまう。残ってもらうように言ってほしいと伝えてある」。11月中旬、去就の定まらない守護神に対し、関係者を通じて慰留に努めていた。呉昇桓も「金本監督は(現役時代)すごい選手で尊敬している。一度は一緒にやってみたい」と語っていただけに、無念の思いは残る。
主力の平均年齢が上がり、チームは過渡期を迎えている。ファームに未完の大器は確かにいるが、シーズンの「計算」となれば不透明。かねて「開幕?あまり早く来てほしくない」と話していたが、偽らざる本音だろう。
「今いるメンバーと、新しい戦力に期待しているよ」
不在を嘆いても始まらない。新チームの構築途上、就任前の青写真は想定外の形で崩れたが、金本監督は前を向く。新戦力獲得に向け、球団は既にクローザー候補のリストを厳選。パドレスのマルコス・マテオ、タイガース傘下3Aトレドのラファエル・ドリスに絞り込み、マテオとは最終交渉を行っている。
「スンファンだけじゃない。マートンと2人抜ける。最多セーブの抑えと年間150本以上ヒットを打つ選手なのだから数字上、相当な戦力ダウン。マートンは安打というか勝負強い、試合を決めるバッターだから」
安打製造機の代役は今季ブルージェイズ傘下3AでインターナショナルリーグMVPに輝いた新助っ人ヘイグに託す。投打とも新戦力は未知数だが、だからこそ、無限の希望にもなり得る。指揮官は現実を直視し、ポジティブに逆風に立ち向かっていく。