金本監督 横田に79分指導「パニクれ!」
「阪神春季キャンプ」(2日、宜野座)
阪神・金本知憲監督(47)が春季キャンプ2日目、横田慎太郎外野手(20)を計79分間密着指導した。40発の大砲に育てたい!そんな思いで1軍キャンプに呼んだ秘蔵っ子に欠点を指摘しながら、「迷え!パニックになれ!」と突き放した。まだまだ、使えない。それでも、指揮官は5カ年計画でホンモノに熟成させる。
186センチ、92キロ、全身バネのような肉体に穴があくほど、金本監督は横田に見入った。雨脚が弱まった昼過ぎ、初日は悪天候でかなわなかった屋外でのフリー打撃が始まると背番号6の視線は、自ら「見てみたい」と1軍キャンプ初招集を決めた20歳に集中した。
ティー打撃から付きっきりで指導した。自ら3球打って実演指導し、フリー打撃ではケージ越しに度々声を掛けた。ロングティーも、その後の特打も四方八方から目を凝らした。ホンモノに育てたい。そんな思いで秘蔵っ子を徹底指導。きょうは横田デー!とばかり、密着時間は実に計1時間19分に及んだ。
「迷っている部分もあると思うけれど、迷うのは当たり前だし、迷路に入ってパニクるのもオッケー。パニックから生還したときには本当に自分のものになるから。逆にパニクってほしい。誰もが通る道だから」
規格外のポテンシャルと認め、掛布2軍監督と“三人四脚”で根気強く大成させるプランを確認済みだ。だからこそ、あえて崖下に突き落とすようなメッセージを送った。
昨年11月、鳴尾浜の秋季練習で横田を初視察した際、「3年で3割10本(塁打)にするより、5~6年かけて3割40本の選手にしたい」と、長期スパンでホンモノに育成する方針を明かした。高卒3年目の今季から1軍で使えるのか。それともまだまだ熟成に時間が必要なのか。球団生え抜きの30本塁打は1985年の掛布、岡田以来、出ていない。待望のスラッガーを1年でも早く甲子園で見てみたい。虎党の期待を集める注目株の現状について、金本監督は直球で評価を下した。
「難しいね。時間がかかるわ…。ステップで弓を引く感じがまったく出ていない。練習の当たりが試合で出るようにするにはステップに問題がある。今は振るところにボールが来ないと打てない。今はポイントが1つしかない。投手は打てるところに投げてくれないよ。でもね、ちょっとしたきっかけで覚醒することがある」
iPadで動画を撮影し、何度も本人に見せた。フリー打撃で11本、特打で22本、計33発を外野席へ運んだ背番号24は時折首をかしげるしぐさも見せた。横田よ、パニクれ!その先に30発、40発の夢が広がっている。