藤浪クイック カール・ルイスでも無理

 「阪神春季キャンプ」(6日、宜野座)

 阪神・藤浪晋太郎投手(21)が6日、今キャンプ2度目のブルペンに入り、クイックモーションの練習を行った。タイム計測では、1軍でもトップレベルの1秒0台を数回記録。昨季はチームの先発4本柱の中で登板時の盗塁阻止率がワーストだったが、弱点を克服して、より完璧に近い投手を目指す。

 ストップウオッチを手に計測していた金村投手コーチと片山ブルペン捕手が、思わず驚がくの声を漏らした。「すごいとしか言いようがない…」「ありえないぐらいの速さ…」。ブルペン投球の終盤。クイックを試した藤浪が1秒01、1秒04と規格外のタイムを続けざまにたたき出したからだ。

 1軍投手の平均は1・2秒とされる。盗塁を刺すか、許すかはコンマ数秒の世界。0・2秒縮まればアウトにできる確率は大幅に上がる。それだけに「すごくよくて、自分自身驚きました」と自信を深めた。

 昨季登板試合での盗塁阻止率は・278。能見とメッセンジャーが・400、岩田が・333で、先発4本柱の中では一番悪かった。その理由を「クイックそのものというよりも、間合いだとか、けん制とかが走られている要因だと思います」と分析する。

 ただ、片山ブルペン捕手は「坂本(の二塁送球)が1・6秒。(合わせて)2・6秒で走れるランナーはいない。カール・ルイスを連れてきても無理!!」と断言。五輪で9個の金メダルを獲得した快速ランナーを例に挙げ、盗塁阻止率アップを確信した。

 クイックの速さを求めて肝心の投球がおろそかになっては本末転倒だが、金村投手コーチは「あんな速さであんなボールを投げられるのは素晴らしい。短い時間でタメをつくれている」と指摘。オフの肉体改造によって、下半身の強度が増したことも理由の一つ。昨季までのように、走者が出た場面でもろさを見せることもなくなりそうだ。

 この日は全球種を試して計50球。キャンプを訪れた侍ジャパン・小久保監督と、右肩の状態について会話も交わした。より速く、より高く、より強く-。近代五輪の標語のように進化を遂げる若武者。行き着く場所は万人の想像を超えた先にある。

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