西岡逆転V弾 安楽から16年“1号”
「練習試合、阪神12-5楽天」(16日、宜野座)
阪神・西岡剛内野手(31)が16日、練習試合・楽天戦(宜野座)で自身16年“第1号”の逆転2ランを右翼席にたたき込んだ。金本監督の初陣は大勝発進となったが、火付け役となったのは間違いなく背番号7のバット。上本博紀内野手(29)、大和外野手(28)との二塁争いはまだ続く。だがその椅子は譲らない。
逆風を切り裂くように、西岡の打球は一直線に右翼席へ飛んでいった。初回は力なく二ゴロに倒れたが、三回1死二塁の2打席目は落ち着いていた。安楽のボール球を見極め、カウント2-0。高めに抜けた直球だった。
「特に何もない」
試合後のコメントが物語るように、自身16年“第1号”もダイヤモンドを回る時の表情は変わらなかった。一方、逆転2ランにスタンドからは万雷の拍手。「西岡!西岡!」。球場の雰囲気が一気に最高潮まで達すると、背番号7は右腕を突き上げ、その割れんばかりの声援に応えた。
五回1死では2番手・入野の直球を捉えて中前打。片岡打撃コーチは「西岡らしい打撃」と絶賛。「体にキレが出てきている。(練習の)成果が出ていますね」と今キャンプでは連日、特打や特守とフル回転で鍛錬に励む男を褒めちぎった。
試合は西岡の一発に触発されたのか陽川、横田が相次いで本塁打を放つなど打線が爆発。江越も2本の長打を打ち、金本監督の初陣に花を添えた。
「横田と江越と陽川を大きく取り扱ってください。その下らへんに『西岡もホームランを打ちました』と書いておいてください」
報道陣に“西岡節”をふりまき、宿舎に戻るタクシーに乗り込んだ。だが、大量得点の火付け役となったのは間違いなくこの男。金本監督は「二塁が一番頭が痛い」と話す。10年以来の首位打者を目標に掲げる男は必死に食らいつき、アピールを続ける。先輩の存在も西岡の力となっている。
「僕と同じ年にアメリカから日本に来て、尊敬する先輩の一人。でも絶対負けないように頑張ります」
14年3月30日・巨人戦(東京ドーム)での激突事件から、もうすぐ2年。右翼・福留、二塁・西岡-。二塁を獲ればまた同じポジションで、同じ空間を共有することができる。
フリー打撃では福留の姿を打撃ケージ横からじっと見つめ、助言を求めて自ら歩み寄る。連日の特打、特守も定位置を奪うための修行だ。金本監督からの愛のムチも力に変え、西岡は走り続ける。