ドラ1高山「死にもの狂いでやるだけ」
「阪神春季キャンプ」(24日、宜野座)
1軍昇格が決まった阪神のドラフト1位・高山俊外野手(22)=明大、同6位・板山祐太郎外野手(21)=亜大、育成の原口文仁捕手(23)が24日、沖縄県読谷村のチーム宿舎に到着した。高山は、これまで指導を受けてきた掛布雅之2軍監督(60)への恩返しを約束。そのためにも結果を残して1軍に定着する。
親元を巣立ったばかりとはいえ、その立ち居振る舞いからは一片のぜい弱さすら感じられなかった。ついに“本来の居場所”にたどり着いた高山は「死に物狂いでやるだけです」と決意表明。高知→大阪→沖縄という空路でのハードな移動だったが「気持ちは高ぶっていたけど、2時間半くらいだったので寝てました」と大物ぶりものぞかせた。
昨年10月の右手有鉤(こう)骨骨折の影響で、キャンプは2軍スタート。そこで熱心な指導を授けてくれたのが掛布2軍監督だ。初めて2人が対面したのは、新人合同自主トレ中の1月20日。室内でのティー打撃を1時間に渡って見守った指揮官を「見た瞬間、安打だけじゃない。もっと長打も期待できる(と感じた)。びっくりした」と驚がくさせた。
キャンプでは、東京六大学リーグの通算安打記録を更新した天才ルーキーは、通算349本塁打の大打者のエキスを吸収してめきめきと成長。そして、最終クールでの1軍昇格を果たした。恩返しの気持ちを問われると「もちろん、あります」と力強く言い切った。
掛布2軍監督からは「俺の顔をもう見ることがないような成績を残してくれ」と送り出された。“絶縁宣言”は、最上級の愛情表現でもある。高山は25日の練習試合・日本ハム戦(宜野座)にいきなり左翼で先発出場する予定。「自分が持っているものを100%アピールし続けるだけです」と具体的な目標は口にしなかったが、今後の活躍次第では開幕1軍どころか、開幕スタメンも見えてくる。そうなれば、恩師との約束も果たすことができる。
右手首については「痛みもなくやれています」ときっぱり。2軍では久しぶりに自由に体を動かせる喜びを感じたという。「もちろん1軍のことも頭に入れながらだったけど、そっちばかりが先行しないように、自分がやるべきことを最優先にやっていた」と安芸での日々を振り返った。
1軍で何が楽しみかと問われ「全てです」と答えた背番号9。雌伏の時は終わった。後は、その翼を目いっぱい大空に広げるだけだ。