金本監督、OP戦前に鳴尾浜“参観”
「オープン戦、阪神2-4ロッテ」(5日、甲子園球場)
阪神・金本監督が甲子園で初めて采配を振るった。しかし、その盛り上がりは周囲のものでしかない。節目に思われた一日のスタートは1軍ではなく2軍。甲子園で練習が始まり出した頃、金本監督は鳴尾浜にいた。掛布2軍監督らと積極的に言葉を交わしていた。
「統一性を持たせるため。1軍と2軍での確認。江越のために行ったようなもの」
2軍視察のプランを温めていた中、4日のソフトバンク戦後に、3三振に終わった江越の2軍降格を決定。ただ、落としたままにはしない。開幕まで、いかにはい上がらせるか。そのために動いた。
「一緒に今までやってきたことを、継続してね。どういうところが悪くて、どういうところを修正してほしいというのを、掛布さんと話をして」
全選手の打撃練習を見つめ、合間には掛布2軍監督と江越を挟み込む形で話す場面も。「将来ある選手ですから。統一してぶれずにやっていきたいというのがある」。見捨てることなく直接語りかけた。江越は指揮官の言葉を、こう振り返る。
「このファームの時間を大切にしろ、と。自分が何をしたいのか考えてやれ、と」
技術的なアドバイスは掛布2軍監督が送り、気持ちの部分のゲキを金本監督自ら飛ばした。その後の教育リーグ・中日戦で江越が3安打を放ったと伝え聞くと「それはいいことだね」と話し、開幕に向けたチャンスについては「彼次第でしょう」と期待を込めた。
2016年本拠地初日に型破りとも思える“采配”。そこには確かな信念があった。1軍スタッフへの信頼。2軍と一本筋を通す重要性。選手への思い。
「(甲子園初采配も)特に景色が変わったわけでもないし、どうってことはなかったけど」。自身のデビューに意識はない。全てはチーム全体のため。敗戦の甲子園にも、金本流の独自の色ははっきり描かれていた。