金本阪神6連打G倒!監督号令に応えた
「オープン戦、阪神6-1巨人」(6日、甲子園球場)
将の号令に、みんなが奮い立った。今年初となる伝統の一戦は、打線が四回に6連打で一挙5点を奪う猛攻をみせて、逆転勝ち。試合前、阪神・金本知憲監督(47)から発せられた「きょうは勝ちにいこうぜ!」という必勝指令に、選手たちが見事、応えた。宿敵巨人には絶対に負けられない-。オープン戦の初激突から、金本イズムが全開だ。
金本監督は堂々と公約を破った。甲子園。巨人戦。2つのキーワードに触れた縦じまの将として、血が騒がないはずはなかった。使命感…とは口にしないが、試合を前に選手たちにこう告げていた。
「きょうは勝ちにいこうぜ!」
プレシーズンの戦いは公式戦に向けた予行演習。そう定義づけた。だからキャンプ中、オープン戦で勝ちにこだわるのかと聞かれると「練習の場、訓練の場。(勝負には)全然こだわらない」と返答した。だがやはり、巨人戦は巨人戦だった。
開幕まで20日を切ったなかで依然公式戦を想定したタクトは封印したままだ。「何のサインもないし、打順にも今のところこだわりも持っていない。作戦どうこう考えて組んでいるわけではない」と言う。それでも、この日ばかりは号令をかけて勝ちにこだわった。
「選手たちには試合前に言った。それで勝ってくれて…」
指揮官の負けん気を肌で感じた選手は全身で呼応した。球児が初回に失点。反発力を試される状況で束になって内海を打ち崩した。同点の四回。先頭の狩野からミラクルな6連打で一挙5点を奪った。高山が続き、横田も完ぺきなスイング。小宮山の一振りで勝ち越し、鳥谷、西岡の主軸が走者を一掃した。指揮官が目を細めたのはその内容だ。勝ち越し劇は徹底してファーストストライクを仕留めたたまものだった。
4日のソフトバンク戦(ヤフオク)で試合序盤に若手へ怒りを向けた。「なんとなく打席に立っているし、気持ちの準備ができていない。若い選手のすることじゃない」。この反省を生かしたチルドレンを「きょうはファーストストライクをね」と称賛。2点を勝ち越し、なお無死満塁の場面でフルカウントから外角の変化球をたたきつけて右前打を放った西岡を「三振だけはしないぞと。追い込まれた後にとりあえず1点を取りにいく西岡の姿勢を、一番見習ってほしい」とたたえることも忘れなかった。
訓練の場であれ、2万116人を前にスペシャルな戦いを届けたい気持ちが自然と高まった。ファンのために。
「うん、うん、うん、うん…。そうだね。それはあるね」
両軍の公式戦通算対戦成績は阪神の786勝1015敗67分け。「伝統」の一戦を盛り上げた。金本監督には、巨人戦で勝ちにこだわる理由がある。