球児1270日ぶり聖地 Gに手の内隠した
「オープン戦、阪神6-1巨人」(6日、甲子園球場)
藤川球児が、1270日ぶりに甲子園に帰ってきた。火の玉ストレートに魅了された多くのファンが、この日を待ちわびていたことだろう。阪神の先発投手として投球スタイルは変わったが、心意気は変わらない。プレートに足をかけ、捕手を見つめる。初球は-。やはり、真っすぐだった。
先頭の立岡には、カウント2-1から中前へはじき返された。1死二塁となり、長野には浮いた変化球を捉えられ中前適時打。だが、二回以降は全く危なげない投球。「今日は…『ちょっと見せたかな』というくらい」。開幕前に手の内は明かさない。その中で、新球をお披露目した。
四回1死一塁。打席には、これまで何度も死闘を繰り広げてきた同級生・村田だ。カウント2-0から投じた球は、これまでにない軌道で内角へと沈む。「ツーシームを投げてきました。今までにはないボールです」。左飛に仕留められた村田は「ニュー球児」を感じていた。背番号18にとっても、心躍る再戦だったことだろう。
「相手が巨人で、球場も甲子園ということでいろいろと考えるところもありましたけど。ありがたいことに声援を頂いたので、それに応えたいという思いではいました」
12年9月13日・ヤクルト戦。23セーブ目を挙げたこの日の試合を最後に、聖地から遠ざかっていた。マウンドの感覚など、忘れかけていたものはある。懐かしい雰囲気、ファンからの声援は昔と何ら変わっていなかった。
金本監督は「直球のキレは良かったと思うよ。そこは一安心」と及第点。開幕カード3戦目となる27日・中日戦(京セラ)に向け次回は球数、イニング数も伸ばしていく予定だ。
「監督もゲーム中、厳しい表情になると思いますけど。笑顔にしたいですね」
背番号18が目指すのは31年ぶりの日本一、そして優勝パレードを実現させること。聖地・甲子園から、球児の第2章が幕を開けた。