藤浪“緩球自在”剛速球だけじゃない
「オープン戦、阪神2-4西武」(8日、甲子園)
想定外の軌道で西武打線を翻弄(ほんろう)した。今年の持ち球は直球系、スライダー系、フォークだけじゃない。進化させたチェンジアップ、新カーブが仲間入り。阪神・藤浪晋太郎投手(21)が緩い変化球を駆使し、4年目シーズンへの伏線を仕掛けた。
「ストレートの力で押すだけじゃなくて、緩い変化球だったり、今まで使ってなかったようなカウントで緩い球を使いたかった。カーブ、チェンジアップの両方を使えたので、良かったと思います」
三回、投球テーマに沿う投球を展開する。先頭秋山を追い込み、121キロチェンジアップを外角やや高めへ。「ちょっと浮いた球ですし、コースや高さも良くなかった」。決してイメージ通りではなかったというが、パ・リーグ最多安打男のバットはクルリ。「相手バッターは一切、データになかったと思う。意識付けとしても使えますし、精度を上げれば決め球でも使える」と投球の幅を広げた。
さらに1死後から、大阪桐蔭の先輩・浅村を121キロカーブで見逃し三振。3日のブルペン投球で握りを変えた新カーブを早速、試投した。ピンチでも積極的に使い「ポンと一瞬浮くようなイメージ。カーブが入ることによって、ストレートも生きてくる。相手もいろいろ考えざるを得なくなると思う」と精度に自信を深めた。
藤浪の投球スタイルは150キロ超の直球を軸とし、140キロ前後のカットボール、フォークが決め球だ。ここに120キロ前後のチェンジアップ、カーブが加われば、投球の引き出しはさらに増える。現役時代、カーブを武器に活躍した香田投手コーチも「自分で工夫して、握りを変えている。少しフォームは緩んでしまうけどバッターからしたら邪魔だろうね」と高評価した。
四回には素早いターンからけん制で一走をアウトに。カットボールに精彩を欠いたが、5回6安打2失点の結果以上に実り多い甲子園初登板となった。