開幕3連敗も“掛布マジック”さく烈
「ウエスタン、阪神1-5中日」(17日、鳴尾浜球場)
開幕3連敗となったけど…。阪神・掛布2軍監督が満員の観衆に応える“見せ場”をつくった。五回1死一、二塁でマウンドに向かい、先発・田面を激励。2軍監督では異例の行動で、田面は息を吹き返して5回を投げ切った。
田面は四回に4安打で4失点。続く五回も四球と連打で1点を失っていた。アップアップの右腕に、掛布2軍監督は救いの手をさしのべた。
ゆっくりと歩いてマウンドに向かい、一言声をかけた。「この回は任せたから投げ切れよ」。穏やかな表情で田面の左肩を軽く4度、たたいた。
すると、苦しんでいた右腕が見違えるような投球を見せた。古本を2球で追い込み、3球目で遊ゴロ併殺。田面は「間を取った中で打者へ投げ込めた」。“掛布マジック”は効果てきめんだった。
育成を重視する指揮官らしい配慮だった。田面は12年ドラフト3位で入団後、制球難などで15年から育成選手となった。昨季もBCリーグ・福井へ派遣されるなど苦しみながら、はい上がってきた。
この試合も乱れた四回途中で降板させる選択肢もあったが、今後を考えて続投を選択。「途中で諦めさせたくなかった。きょうは5回を投げたことに意味があった。去年までの田面を考えればね」。父親のようなまなざしで教え子の奮起を喜んだ。