藤浪が開幕投手にこだわらない理由

 まもなく、ペナントレースが幕を開ける。阪神の開幕投手は2年連続メッセンジャーが決定的だ。通算3度目は広島、ロッテで活躍したミンチーらと並んで外国人投手最多タイ。昨季チーム最多の14勝を挙げた藤浪は、シーズン後半に発症した右肩痛を考慮され、2カード目・ヤクルト戦(神宮)初戦を任される。阪神の日程を見ると4月末までヤクルト、巨人と2度ぶつかる。昨季の上位2チームに藤浪をぶつけていく方針だ。

 開幕投手の捉え方は人それぞれ。キャンプ中に金本監督から通達されたメッセンジャーは「感謝したいし、誇りに思いたい。オフシーズンはそれを目標にやってきたと言っても過言ではない」と強いこだわりを見せる。

 一方の藤浪はまた違うスタンスだ。昨季までは「メッセンジャー、能見さん、岩田さん、そのポジションを奪っていかないと」と開幕投手に意欲を示していたが「昨年1年で考え方が変わりました」と明かし、こう続ける。

 「自分自身そこまで開幕が大きいことではないと思っています。それよりもシーズンの勝負どころで勝つことの方が大事。開幕投手をやったからエースかと言われると、自分自身、すごく疑問に思いますし、やっぱりシーズン終盤の苦しいところ、大事なところで勝つピッチャーがエースだと思います」

 文脈を読み解くと、大黒柱としての強い自負がにじむ。藤浪が強調する「シーズンの勝負どころ」とは優勝を争う8月以降だ。昨年を振り返ると、藤浪は苦しい体にムチを打ち中5日で投げ続けた。特に9月は6試合中、5試合が中5日。まさにエースの働きで、ポストシーズンでは当然のように、初戦マウンドに上がった。突き動かすのは「勝ちたい」という純粋な思いだ。

 「とにかく優勝したい。成績はもちろん大事ですが、優勝したいという気持ちが強い。勝ちたい、優勝したいというのは常々、思っていることです」

 大阪桐蔭高時代、頂点を極めた男だからこそ勝利への執念は人一倍だ。

 他球団を見渡せば、開幕投手には日本ハム・大谷、ヤクルト・小川、楽天・則本、巨人・菅野らエースがズラリと並ぶ。開幕投手=エースという図式は、確かにある。しかし藤浪は、従来の考え方には左右されない、独自のエース道を歩む。(デイリースポーツ・杉原史恭)

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