金本監督 まだ怖いけど…恐れず攻める
「阪神-中日」(25日、京セラドーム大阪)
阪神は24日、京セラドームで開幕前日の全体練習を行った。監督就任以来「開幕戦が来るのが怖い」と話していた金本知憲監督(47)はこの日も「(怖さは)一緒」と語り、本番を前に気持ちを引き締めた。高山、横田のフレッシュな1、2番をスローガン「超変革」の象徴にしたい思いはあるが、「発展途上」を強調。「攻める」「チャレンジする」と挑戦者としてシーズンに挑む覚悟を示した。
いつ誰に聞かれても、金本監督は「怖いですよ」と答えてきた。できることなら、もっと、もっと先延ばしにしたい。いや、たとえひと月延びても感情は変わらないはずだ。「来てほしくない」と語っていた開幕を迎える。やはり「怖い」か。練習後、そう問われると飾らず本音を語った。
「何をやっても勝てない時期があると思う。連敗、連敗…とか。そういう時期は絶対あると覚悟はしている、もののね…」
勝率7割で5年ぶりにオープン戦を制覇した。防御率はセ・リーグ唯一の1点台。チーム打率もリーグ最高の数字を残した。最近3年間、プレシーズンの戦いを制した球団がリーグ王者になっている。「いいこと」とは言うものの、ポジティブな青写真は浮かんでこない。
テレビカメラ7台に囲まれた練習前の会見で「楽しみなところと、不安な部分が入り交じっている。五分五分」と話したが、ロッカールームに引き揚げる前に「怖さは減った?一緒、一緒」とも言った。143戦の長丁場は必ず負の波に直面するもの。新人監督は悪夢、どん底を想定しながら本番に挑む。
開幕戦の舞台、京セラドームで午後1時に始まった練習は1時間40分で終了した。連係プレーもシートノックもなし。グラウンドは夕方4時半まで使用可能だったが、メリハリ調整で翌日に備えた。
10年間勝てないチームを託された昨年10月、就任会見でこう言った。「勝ちながら再建する」。「時間に甘えない」。決意は不変だ。ただ、目の前の結果を恐れて縮こまる戦いは信念に反する。「すべての意識を変える」と宣言し、新スローガン「超変革」の旗印の下、4カ月間を過ごしてきた。未完成、道半ばだからこそ、こだわりたい戦い方がある。
「本当に発展途上のチームなので、恐れず攻めていきたい。いろんなことにチャレンジしながら、グイグイとね。1試合負けようと、ファンが納得する負け方というか…どんどんチャレンジしていきたいと思います」
開幕の朝も験担ぎは「しない」という。
「(開幕戦は)特別は特別です。でも、戦い方は143分の1として捉えている」
怖い。でも、恐れない。覚悟を決めた金本知憲の野球人生、その第2章が幕を開ける。