能見、完封あと3人からサヨナラ負け
「DeNA2-1阪神」(1日、横浜スタジアム)
エープリルフールならウソと言ってくれ。完封目前の九回、阪神・能見篤史投手(36)が同点弾を食らい、最後は歳内宏明投手(22)が痛恨のサヨナラ打を浴びた。前夜の5時間12分の激闘ドローに続き、疲労倍増のサヨナラ負け。勝率5割で貯金はなくなったが、さあ切り替えていこう。
悲しい結末はベンチで見届けた。能見の願いは通じなかった。完封勝利目前から、まさかのサヨナラ負け。DeNAの歓喜の輪に目もくれず、荷物をまとめて、静かにベンチ裏へ引き揚げた。
1球に泣いた。1-0の九回、先頭で筒香を迎えた。昨季は9打数7安打、1本塁打、6打点と打ち込まれていたが、この試合はそれまで3打数無安打。ところが107球目、初球の直球は吸い込まれるように真ん中高めへ。快音を残した打球はグングン伸び、左中間席に飛び込んだ。
意地の熱投だった。前日のヤクルト戦は5時間12分、延長十二回の激闘の末ドロー。マテオは守護神としては異例の3イニング、61球を投げ、この試合の休養が決まっていた。能見はチームの危機を救うため、強い気持ちでマウンドに立っていた。
「気持ちはそうでしたけど難しいですね。そんな簡単には終わらないですね。振り返っても帰ってこない。(筒香へのボールは)疲れがあるのか…、よく分からないです」
八回まで3安打無失点。指揮官が「筒香の入り方だけだったかな。勝負で負けたのは…。それ以外はほぼ完璧でしょう」と称える内容だった。香田投手コーチも「丁寧に低めを突いていた。変化球もうまく抜いていた。素晴らしいピッチングだった」と称賛。マテオが万全でも九回は続投か、聞かれると「そうですね」と迷わず、言い切った。
だが、ひずみは生じていた。マテオが控えていれば、九回2死一、二塁で歳内を投入した場面は、この日は代役守護神として構えていたセットアッパー福原。「八回までスッと行っていたので」とマテオ不在の影響は否定したが、歳内の起用については「そういう場面でも抑えるピッチャーになってほしいという思いがあった」と期待を込めて送り出したことを明かした。
試合前、投手キャプテン・福原はチームの危機に「みんなで頑張る。今日は能見がやってくれる」と強調していた。
「強弱をつけてしっかり投げられたのは、いい収穫。次につながると思います」
8回2/3を5安打2失点で敗れた能見は淡々と言葉をつなぎ、前を向いた。表情に暗さはない。まだシーズン序盤。2日・DeNA戦(横浜)もマテオは休養予定。いきなり訪れた危機もチーム一丸で乗り越えていく。