高山4安打!金本監督「新人ですか?」
「巨人2-8阪神」(5日、東京ドーム)
黄金ルーキーが初の伝統の一戦で輝きを放った。阪神ドラフト1位の高山俊外野手(22)=明大=が今季2度目の4安打と大暴れ。ドラフト制後、阪神新人の1試合4安打複数回は初めての快挙だ。1番打者として勝利に貢献する働きに、金本知憲監督(48)も大絶賛。この勝利で首位巨人とのゲーム差は0・5。若い力に導かれ、猛虎が一気に首位の座を奪い取る。
大した男だ。初めてプレーした伝統の一戦で、右へ左へと打ち分けること4回。高山のバットが難攻不落だった“ポレダ城”を陥落させた。
「(巨人戦は)雰囲気も違いましたし、そういう雰囲気にのまれることなく、自分のプレーができたのはすごく良かったです」
見せ場はいきなりやって来た。初回、カウント1-2から149キロ直球を流し、左前打。先制点の起点になった。「そういう(出塁が期待される)打順に置いてもらっている。それを感じながらやっていく」。三回にも一、二塁間を切り裂く右前打。六回には右前への2点適時打で息の根を止めた。
「打ち方は変えていないですけど、球が速いのは分かっていたので、準備はしていました」
昨季、チームは5勝を献上したが「どっちにしろ初対戦なので」と過度な意識はなし。自然体のキープが奏功した。小山に投手が代わった九回も遊撃へ強烈なゴロを飛ばし、内野安打で締めた。
「いいところに転がったり、いいところに落ちたりしてくれて、結果的に4安打で良かったです。こういう日の次の日のあしたを大事にやりたいと思います」
4試合ぶり2度目の4安打だが、ドラフト制後、新人による複数回の4安打は球団史上初めて。また阪神の新人が巨人戦初出場で猛打賞を記録したのは00年9月13日(甲子園)での上坂太一郎以来で、巨人戦初戦での新人4安打はドラフト制後、球団史上初だ。この働きに金本監督も驚きを隠せない。
「これで新人ですか(笑)。そう思えるくらいの落ち着き、状況判断。素晴らしいです。スイングの形はどこも直すところがない。タイミングが遅いときはそう言うし、開きが早いときはそう言う。そこしか言うことがないくらい完成されている」
高山の快打を祝うかのごとく、東京ドーム近辺は桜が開花していた。春は出会いと別れの季節。阪神と縁ができた一方で、決別を告げられた人もいる。明大・善波監督だ。先月30日のヤクルト戦(神宮)を観戦。無安打だったが、成長を感じていた。
「よくなっています。2月のキャンプから掛布さんや金本さんに見てもらっていたからでしょう。私の手からはもう離れました」
恩師に成長した姿を見せている高山は「しっかりやりたいです」と前を向く。これでチームは3連勝。首位と0・5ゲーム差に迫った。「あしたも絶対勝ちます!」。日に日に背番号9の頼もしさが増していく。