能見粘った7回2失点 2年ぶり10K
「阪神3-2広島」(8日、甲子園球場)
阪神ベンチを飛び出し、歓喜の輪に加わった。114球の執念はサヨナラ劇を呼び込み、失点直後に力をくれた援護射撃にも応える形に。「江越がホームランを打ったら負けてないんでね。危ない、危ない(笑)」。江越の不敗神話も継続となった首位奪取の勝利は、能見の力投があったからこそのものだ。
鮮やかなフィニッシュで、追加点を与えなかった。七回2死一、二塁、初回に左前適時打を許したルナとの対戦。「(過去にも)いっぱい対戦しているので」。そこまでも臆することなく内角を攻めていた中、フルカウントからの6球目。内角直球で見逃し三振に仕留めると、グラブを叩いて拳を握った。
初回の2失点後も粘った力投。金本監督も「直球も最後まで落ちなかった。初回だけもったいなかったけど、初回以外はほぼ完ぺきだった。勢いでインサイドを突いたり、変化球でかわしたり、さすがと思わせる投球をしてくれました」と称えた。実績もあり経験も豊富。それでも向上心を絶やすことはない。
5日の巨人戦でそうだったように、他の先発投手と同様に、今季は投げない試合でベンチ入りすることがある。そこでも常にアンテナを張る。「自分の考えと、試合に出てる選手の考えといろいろあって、それが面白い」。ちょっとした会話が新たな発見となり、それを生かしている。
2年ぶりで球団歴代5位の19度目の2桁奪三振も記録したが「立ち上がりは難しいね」と反省を忘れない。ただ、それも糧としてチームの勝利と共に成長を続ける。