江越V撃で再奪首「やったりました!」
「阪神5-2DeNA」(14日、甲子園球場)
チームの危機を救う大きな一打だ。1-1の六回1死一、三塁、阪神・江越大賀外野手(23)が右翼フェンス直撃の勝ち越しタイムリー二塁打を放った。四回の攻撃で福留が足を痛めて負傷退場。不動の主砲が不在となるピンチで、若虎たちが躍動した。チームは2連勝で今季10勝目。そして再び首位タイに浮上。このまま進撃や!
3度もやられるわけにはいかなかった。駒大の先輩としての意地が、プライドが江越の打球をグングン伸ばしていく。白球は右翼フェンスの最上部を直撃する決勝の適時二塁打。こん身のガッツポーズを繰り出し、普段は物静かな男がお立ち台で「やったりました!!」と絶叫した。
「1、2打席と簡単に三振していたので」と今永に連続三振を喫して迎えた第3打席。同点の六回1死一、三塁で、名誉挽回のチャンスが巡ってきた。
カウント1-1からの直球に空振りして追い込まれたが「今永は直球に自信を持っている投手。一番、自信を持っている球で来ると思った」と大学の後輩、そして先輩捕手・戸柱の心理を読み切った。4球目、外角高めに来たストレートを一握り短く持ったバットで捉えると、打球は力強く右翼の頭上を通過していった。
「越えるかなと思ったけど、フェンスまでとは思わなかった」と振り返った決勝打。金本監督は「球が甘かったとはいえ、(バットを短く持って)工夫したということだから、それは江越の成長でしょう。追い込まれて得点圏の時は、俺も変えてたから」と称賛を惜しまない。
これで4試合連続本塁打を含む出場7試合連続安打と、覚醒した雰囲気を漂わせる江越。ただ開幕前、そんな活躍を誰が想像できただろうか。キャンプ、オープン戦で結果が出ず、3月半ばに2軍落ち。そんな中、江越はある決断を下した。
駒大時代から貫き通したタイミングの取り方、打撃フォームを変えた。これまでは構えた際に、大きく上下に揺らしていたバットの動きをやめた。「掛布さんに言われて。今は腕を少し動かしてタイミングを取るようにしている」と江越。変わらなきゃ-。そんな強い思いが打者にとって勇気ある“一歩”を踏み出させた。
「今はどんな投手に対しても、自分の間合いで打てていると思います」と手応えを口にした江越。4番・福留が左太もも裏を痛め四回に途中交代し、聖地に漂った暗雲も振り払った。お立ち台の後には「(やったりましたは)調子に乗りすぎました…あれはなしで」と後輩の心境も気遣った背番号25。その背中が今は何よりも頼もしい。