金本監督“走攻劇”で甲子園3連勝

 「阪神8-4ヤクルト」(19日、甲子園球場)

 攻めのタクトが接戦にケリをつけた。阪神は同点の八回に金本知憲監督(48)が相次いで繰り出した盗塁指令が実を結び、3盗塁を絡めて一挙4得点。昨季のセ王者を砕き、本拠地で連敗を3で止めた。足攻も超変革の一端。甲子園3連勝。聖地に響く六甲おろしの大合唱が心地いい。20日も頼むでぇ-。

 3連敗中のネガティブな風向きを変えるため、金本監督は超ポジティブに勝負に出た。吉と出るか凶と出るか。その可能性をフィフティーフィフティーと踏みながら、迷いを捨てた。アグレッシブなスタンスを崩さず、ゴーサインを出して突破口をこじ開けた。

 同点で迎えた八回。先頭の江越が中前打で出塁し、ゴメスのカウントが3-2になったときだ。7球目に江越がスタートを切り、左腕ペレスのスライダーがワンバウンドで暴投となると、二塁を蹴って三塁を陥れた。

 「三塁へ行けたのは大きかった。正直、ゲッツーも頭をよぎったんだけど、そこは攻める姿勢で、ゲッツー覚悟でいこうと思った。今は若い選手が多いし、勢いをつけたいという思いがある。あそこを走らさずに内野ゴロでゲッツーというのもね…。ああいう場面はてんびんにかける。(走って)三振ゲッツー、ライナーゲッツーになる確率と(走らないで)内野ゴロゲッツーの確率…ほぼ五分五分だと思うけど、そこは勝負にいった」

 勝負手が吉と出て、無死一、三塁と好機が広がると、もうイケイケだ。鳥谷への初球にゴメスが難なく二盗を決め、キャプテンが詰まりながら右前へ決勝打を運んだ。さらに西岡への初球に鳥谷が二盗。代打・狩野の中犠飛で追加点を奪い、故障でベンチスタートの福留を代打起用し、ダメ押しの適時打を生んだ。そして、高山に15打席ぶりの適時内野安打が飛び出し点差を4に広げると、九回はドリスを初起用し、最後を締めた。

 名古屋で2試合連続サヨナラ敗戦を喫し、4位転落で甲子園へ帰ってきた。それでも試合前に選手に特別ハッパをかけるでもなく自然体で試合に臨んだ。

 「そこが若いチームのいいところでね。あまり流れとか、空気を読まないでしょ。自分のことで精いっぱいだから。僕も若いときは連敗しようが何しようが、自分が必死にやることがまず第一だったから…。(選手には)特に何も言わなかったよ。球場も変わってね。(甲子園に)帰ってきたから」

 変革に「超」をつけた金本監督だから言う。「足が止まっているよりは動いているほうがいい。攻めていく姿勢は変えないようにしたい」。信念を貫き、悪い流れを断ち切った。

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