ゴメス進化証明 ヤクルト山中に一矢

 「阪神1-5ヤクルト」(20日、甲子園球場)

 きれいな角度でバットが出て行った。内角低めの厳しいシンカー。並の右打者なら内野ゴロ、ファウルになってもおかしくない1球を、阪神・ゴメスは高々とすくい上げた。浜風にも乗って左翼ポール際へ着弾した6号ソロは、主砲の“進化”を示していた。

 場面は2点を先制された直後の二回。先頭で迎えた第1打席だった。山中が投じた初球、「狙っていたわけではなく、打てるとボールだと思ったから振っていった」と膝元の変化球をきれいにさばいた。昨年、一昨年では見られなかったスイングの軌道-。今までなら左にフックしてファウルになってもおかしくない打球が、切れることなくポールの内側を通過した。

 バットがインサイドアウトで出ていき、しっかりと自分のポイントで打ったからこそ描けたアーチ。まだ4月にもかかわらず6本とアーチを量産していることには「スイング自体は悪くない。これからもどんどん打っていかないといけない」と力を込める。

 第2打席でも痛烈に三遊間を破る左前打を放ち「ここ最近は状態も上がってきているし、ボールもよく見えている」と手応えを口にしたゴメス。試合後にはクラブハウスへと続く通路で家族が待ち構えていた。

 そこで長女・ゾーイちゃんを左腕一本で抱っこすると、父親らしい表情を浮かべた助っ人。4試合連続安打で打率も・237へ上がってきた。福留を欠く中での頼れる主砲として、確かな進化を見せている。

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