金本監督 若虎よ技量ないなら考えろ!
「阪神1-5ヤクルト」(8日、甲子園球場)
物足りない。阪神打線がヤクルトのドラフト1位・原樹理投手(22)=東洋大=に抑え込まれて、3カードぶりの負け越し。金本知憲監督(48)は試合後、凡打を繰り返した若手選手に対して「技量がないのだからどの球も打とうというのは無理な話」と、攻略に向けてもっと知恵を絞れと、メッセージを送った。10日からは巨人戦。若虎よ、伝統の一戦で確かな変化を見せてくれ。
真中監督がヌカ喜びした昨秋のドラフト会議から3カ月。金本チルドレンが、高山の外れ1位に手玉に取られた。地元兵庫出身で凱旋を飾った原樹理は試合後、「精神的に安定していた」と、憎らしいコメントを残した。初回に能見が山田に2ランを浴び、新人右腕に余裕さえ与えるもどかしい展開。前日は5点差を振り出しに戻す反発力を示したが、この日は22歳の前にわずか4安打。七回にくしくも敵将が逃した大魚、高山が一矢報いるのが精いっぱいだった。
金本監督がドラフトの因縁を脳裏に巡らせるはずもなく、試合後は若い打線のもろさに歯がゆさを隠せなかった。報道陣から中継ぎが踏ん張れなかったシーンを振られると即座に口先をとがらせた。
「そう言うことを言うとキリがないから。あの1点、この1点とね…」
さらに20秒ほど沈黙の後、自ら切り出し、若い打線の責任に言及。メディアを通してメッセージを送るかのように、奮起を促した。
「今は投手というより、打つほうじゃないですか。昨日相手からもらった四球で5点取ったのと、ナゴヤドームで吉見からの(5)点、それ以外はすべて2点以下でしょ。やっぱりそこらへんだよね、ノッていけないのは…。安定して勝っていくには投手の力が必要だけど、やっぱり打たないと景気づかないところがある。打って走ってしないと!」
確かにゴールデンウイークの6連戦中4試合が2得点以下で、金本監督が指摘するように「走」の物足りなさも数字が示している。キャンプから走塁改革を掲げるチームが4月23日・広島戦から13試合盗塁がない。昨季と比べれば37試合時点の17盗塁はプラス5だが、「景気づけ」には企図とともに精度を高める必要もある。
「若いチームなんだから。去年は1軍に半分くらいいなかったのかな、ルーキーも含めて。そういうチームだからこそね。技量がないのは分かるけど…。技量がないのだからどの球も打とうというのは無理な話。若いカウントから球種かコースか高さか(狙いを)明確にして、それを打ち損じない。僕も若い頃はそうだった。漠然と甘い球だけ待って(打つ)とか…。1軍の投手はそこには投げてくれませんよ」
先勝の後連敗し、カード勝ち越しは2でストップ。敗因は「打力」というよりも、スタメン野手の半数を占める20代前半の「考える力」。経験を含め未熟さは百も承知で勝負している。週明けには今季3度目の巨人戦が待っている。金本阪神のチャレンジは続く。