田面よ原口になれ、金本監督強烈ハッパ
第2の原口を目指すんや!阪神・田面(たなぼ)巧二郎投手=25=が10日、1軍本隊に合流。雨天でこの日の巨人戦は中止となり、甲子園の室内で調整した。金本知憲監督(48)は「第2の原口になってほしい」と、正捕手への道を突き進む原口文仁捕手(24)を例に出し、強烈なハッパをかけた。掛布雅之2軍監督(61)が「秘密兵器」と話す151キロ右腕が、ついにベールを脱ぐ。
シンデレラストーリーが始まる。4月15日に支配下再登録を勝ち取り、この日1軍本隊に合流した田面。もがきながら過ごした3年間を経て、ようやくスタートラインに立つ。「2軍でやってきたことを変えずにやっていく」と決意を込めた。
最速151キロの直球を軸にスライダー、カットボールを織り交ぜる投球スタイル。掛布2軍監督を「隠し玉、秘密兵器だね」とうならせるほど、潜在能力は一級品だ。そんな無限大の可能性を持つ25歳に、金本監督は「第2の原口になってほしい」と願う。
原口は4月27日に支配下再登録され、ここまで11試合に出場して打率・542。捕手としても獅子奮迅の働きを見せる。右腕はテレビ越しに後輩を見つめ、特別な思いを感じていた。支配下選手から、育成選手となった経歴も重なる。しかしそれ以上に、2人には決して忘れることのできない思い出があった。
13年4月。シート打撃に登板した田面は打者・原口に死球を与え、左手尺骨骨折の重傷を負わせてしまう。翌日、ギプスで固定された患部を見て罪悪感にかられた。それでも、一つ年下の青年は復帰へ向けて懸命にリハビリに励む。このままではいけない-。その姿を見て、自身も奮い立った。道のりは長かったが、ついに「夢」へのチャンスを得た。
「ファームのときから、原口にはよく受けてもらいました。1軍でもバッテリーを組んで、抑えられたらいいと思います」
14年は2軍戦6試合の登板で、防御率8・44。制球に苦しむなど伸び悩み、オフに育成選手契約となった。15年の春には球団からBCリーグ・福井に派遣され、単身武者修行へ。NPBを目指す若者たちにもまれ、野球ができる喜びを改めて実感した。諦めない心が、何より大切だということが身に染みた。
金本監督は「一気にいいポジションで投げられる投手になってほしい。支配下から入って、育成に落ちることがネガティブじゃないんだというところを見せてほしい」と大きな期待を寄せる。目指すはドリス-マテオにつなぐ“七回の男”だ。
「しっかり攻めていきたいと思います」。11日に出場選手登録される。恐れるものは何もない。苦楽を共にしてきた仲間がいる。虎投手陣の救世主となるべく、背番号97が堂々とマウンドに立つ。