球児、無期限中継ぎ 火の玉取り戻せ
阪神・香田勲男投手コーチ(50)が16日、藤川球児投手(35)の先発復帰の可能性を否定し、今後はリリーフに専念させると明かした。藤川は14日・DeNA戦(横浜)で阪神復帰後、初救援。今季最速の147キロを計測したが、3安打された。退路を断って、“火の玉ストレート”の復活を目指す。
もう後はない。11日・巨人戦(甲子園)から中継ぎ待機をしている藤川について、甲子園での投手指名練習を見守った香田投手コーチが言及した。
先発再転向の可能性を問われると「今年やっていたわけだから、そんなに難しいことではないけど、それはどうなんだろうな…」と表情は悩ましげ。そして「チームの状況で先発が足らなくならない限り、彼の働きやすい場所でやってもらいたい。あちこち行ったらよくないだろうしね」と語った。
柔らかな口調とは裏腹に、楽観的な見方はできない。14日・DeNA戦(横浜)では2点ビハインドの八回にマウンドへ上がったが、代打・下園に今季最速147キロの直球を右前打にされるなど被安打3。ドラフト6位・板山(亜大)の本塁への好返球で無失点に抑えるのがやっとだった。
かつて「分かっていても打てない」と形容された“火の玉ストレート”は軽々とはじき返された。加えて金本監督は「相手があまりフォークを振らなかった」と指摘。空振りを取らないといけない球種で取れないのは、中継ぎにとって致命的といえる。
日米通算222セーブ、102ホールドを挙げた実績や2億円の年俸に見合った活躍をするためには、勝ちパターン入りは必須。香田コーチも「負けている場面でいくなら、若い子がいい。勝ちパターンとして機能してくれたら、ありがたい」と願いを込める。
復調のポイントとして、香田コーチは「空振りを取れる真っすぐ」を挙げる。「スピードガン以上の速さが出たら、球児らしくなる。速さが分かるようになったらいいね」と話す。
13年にトミー・ジョン手術を受け、連投による右肘への負担を考慮されての先発起用だった。しかし結果は5試合で1勝2敗、防御率6・12と期待に応えられなかった。以前の主戦場に配置転換されるものの、道のりは険しい。17日以降もブルペンで待機する藤川。火の玉復活へ黙々と準備を進めていく。