メッセ快投報われず…消えた5勝目
「阪神3-4中日」(17日、甲子園球場)
目を疑うような光景が繰り広げられた。1点リードで迎えた九回。阪神のランディ・メッセンジャー投手がつかみかけていた5勝目が消えた。
一塁ベンチでは感情を押し殺し、気丈に振る舞い続けた。同点を許したドリスをねぎらう場面もあった。ただ、胸中は穏やかではなかった。
試合後は無表情。「起こったこととして受け入れがたいけど、これも野球。受け止めてやりたい」。勝利を確信していただけに、残ったショックは大きすぎた。
7回4安打1失点。勝利投手に値する好投だった。ミスは初回のみ。初回2死。平田に左翼席へ先制ソロを運ばれた。試合開始早々に先制点を許したが、以降は危なげない内容だった。
150キロ台の直球で押す場面もあれば、110キロ台のカーブをアクセントにして凡打の山を築く。二回以降は三塁を踏ませず、スコアボードに0を並べた。奪三振数は9。日本球界での通算1000奪三振にもあと10と迫った。
「甘いボールも投げてしまったけれども、勝負どころではいいボールがしっかりと投げることができた。ゲーム全体を通してダメージを食らわないピッチングができたね。ゲームを作ることができたし、自分の仕事は果たせたと思うよ」
試合中、広報を通して残したコメントには充実感があふれていたように、誰もが安心して見られる内容だった。
好投は白星には結び付かなかったが、切り替えるしかない。次回は今季初の中4日で、22日・広島戦(甲子園)で先発予定。この試合は次回を見据えて今季最少の107球で降板した。余力は十分。たまったストレスを力に変え、今度こそ白星をつかみ取る。