原口初猛打賞!虎惨敗4位転落もキラリ
「阪神5-10広島」(22日、甲子園球場)
痛恨の逆転負けで4位に転落した金本阪神。今季2番目の大観衆からはため息が漏れたが、そんな中でキラリと光る活躍を見せたのが原口文仁捕手(24)だ。5番に座ると、一回にいきなり左前へ先制打。その後も安打を重ね、プロ初の猛打賞をマークした。得点圏打率・478の勝負強さ。今やなくてはならない存在となった苦労人は、上位再浮上へ攻守で引っ張る。
主軸という肩書も何ら不思議ではない。原口は、11日・巨人戦(甲子園)以来となった5番の椅子でプロ初の猛打賞、2打点と打ちまくった。4月27日に支配下再登録を勝ち取ったばかりだが、ここまで21試合で打率・387と驚異的な数字を残す。この日14安打10得点を許した守備に反省は残るが、確実に前を向いて歩いている。
「甘い球をしっかり仕留められていますし、しっかり(ボールを)見極められているのがいい結果につながっていると思います」
初回2死一、三塁で中村恭の変化球を捉え左前適時打。四回1死一塁は2番手・戸田から左前へはじき返し、六回2死三塁ではヘーゲンズから再び左前適時打。金本監督は「まぁ期待できるね、一番」と絶賛する。
際どいコースも、勝負球の変化球も微動だにしない。「形もそんなに突っ込まないし落ち着いているというか、冷静に仕留めるというかね」。指揮官は、5番起用に最高の結果で応えた若武者を褒めたたえた。血のにじむような努力で得た技術は、1軍の舞台でも十分通用している。
一方、扇の要として広島に14安打10得点されたのは痛かった。中4日で先発登板したメッセンジャーが、3回1/3を7失点で今季最短KO。試合後、原口は「こういうこともあるので、反省して切り替えていきたいと思います」と無表情で淡々と言葉を並べた。3安打を放っても、敗戦の責任を背負う。捕手というポジションの重みを感じていた。
11日・巨人戦(甲子園)でのコリジョンルール適用。15日・DeNA戦(横浜)では、一塁手前の飛球をゴメスらとお見合いし、落としてしまう痛恨のミスもあった。1軍という舞台で苦杯をなめることも多々ある。だが、「若い選手が元気を出さなきゃ」と後ろ向きになることはない。「勝ちにつながるプレーをしたい」。原口の一生懸命な姿勢はナインにも伝わっている。
「チームに貢献できるように、継続して頑張っていきたいと思います」。不動の正捕手へ、道のりは険しい。それでも一歩ずつ、着実に前進している。