北條V2点打のち失策 金本監督苦言
「ヤクルト5-7阪神」(24日、神宮球場)
快打に喜び、拙守を悔いた、ヒヤヒヤの逃げ切り勝利だ。二回に阪神・北條史也内野手(21)が先制の中越え2点適時二塁打。見事にチームを勢い付けたが、八回には自身の失策が失点に絡み、金本知憲監督(48)からは「あのミスで帳消しだよ」と苦言を呈された。若手中心で発展途上の金本阪神。勝ちながら、苦しみながら、一歩、一歩進んでいこう。
ヒーローは北條!試合後のインタビューも目に浮かんだ。すんなり終わっていれば殊勲者になるはずが、終盤に地獄が待っていた。最下位の燕をたたき貯金1で3位タイ。だが試合後、2点先制二塁打の北條に笑顔はなく、「練習するしかないです…」と悔しさをにじませた。
2試合連続で1番で起用された背番号2のミスが、もつれた展開の引き金になった。2点リードで迎えた八回の守備。北條が先頭・坂口のゴロにバウンドを合わせ損ね、出塁を許した。今季2失策目がこの回マウンドに上がった藤川の足を引っ張った。結局、満塁から押し出しを与え、1点差にまで詰め寄られた。
「あのミスで帳消しだよ。若いんだから、球際で最後の集中力を出さないと」。金本監督もあえて厳しい言葉を連ねる。
2試合連続1番で起用されたニュー・リードオフマンのバットが序盤に火を噴いた。守備ではつたなさが出たが、バットでは魅せた。0-0で迎えた二回2死一、二塁。左腕・八木に追い込まれながらも、チェンジアップを逃さなかった。
振り抜いた打球はぐんぐん伸びて中堅フェンスを直撃。走者2人を本塁へ迎え入れ、北條は二塁へ達した。長打は8日・ヤクルト戦(甲子園)で九回に放った左翼への二塁打以来。二塁上でほおを緩めた。
「カウント2-2になった段階で、逆方向へ追っつけるイメージを持っていました。だから、最後のチェンジアップに対応できたんだと思います」
初回には外角高め、138キロ直球に空を切った。見逃せばボールだったが、誘いに乗った。「1打席目は抑えられていましたが、(二回の)チャンスで打つことができて良かった」。22日・広島戦(甲子園)に続く自身初の2試合連続打点。それだけに、守りのほころびがもったいなかった。
新1番打者として前を向き、「(チームに)勢いを付けられたら」と力を込める。適時打の後、三回以降は無安打に終わった。指揮官は「簡単に高めのボール球を振ったり、ワンバウンドをあっさり振って淡泊に三振したり…。バッティングの悪い形が出たかな」と課題を挙げる。厳しい言葉は期待の裏返し。北條に立ち止まっている時間はない。